サイドストーリー /1st/テリー・ボガード の変更点

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解放条件
#region
|~話数|~プレイヤー&br;ランク|~キャラクター&br;ランク|~その他|
|1話|6|1||
|2話|9|5||
|3話|9|10||
|4話|11|15||
|5話|21|20||
|6話|22|24||
|7話|26|28||
|8話|26|32||
|9話|33|36||
|10話|37|40||
|11話|40|43||
|12話|40|46||
|13話|41|49||
|14話|41|52||
|15話|47|55||
|16話|50|58||
|17話|50|61||
|18話|50|64||
|19話|50|67||
|エピローグ||70|メインストーリー4章29話読了|
|~話数|~プレイヤー&br;ランク|~キャラクター&br;ランク|~その他|
#endregion
 
*1章 [#chapter_1]
**1話 [#story_01]
#region(ネタバレ注意)
|>|テリーチームVS京チーム戦前夜――|
|~テリー・ボガード|×! こっちの席で一緒に飲もうぜ。|
|~〇×|……! あ、はいっ。お邪魔します。|
|~アンディ・ボガード|兄さん、いきなり女性を呼び捨てにするのはちょっと……。&br;〇さんがびっくりしてるだろう?|
|~テリー・ボガード|そうなのか?|
|~〇×|だ、大丈夫です! 気にしないでください。|
|~〇×|(確かに、ちょっとドキッとしたけど……。)|
|~アンディ・ボガード|すみません、〇さん。|
|~アンディ・ボガード|兄は根っからのアメリカ育ちで、&br;この国の習慣とか礼儀とかわかってなくて。|
|~アンディ・ボガード|何度この国の作法を叩きこんでも、この調子で……って&br;言ってるそばから刺し箸をしない!|
|~テリー・ボガード|いって! なんだよ、いいだろ?&br;このポテト美味いのに、つるつる滑って箸じゃ取れないんだ。|
|~〇×|確かに、里芋は持ちづらいですよね。|
|~テリー・ボガード|だろ? ほらアンディ、×もこう言ってるし&br;カタいこと言うなって。|
|~アンディ・ボガード|兄さん。&br;〇さんはただ共感してくれただけ。|
|~〇×|ふふふっ。|
|~テリー・ボガード|お。×、やっと笑ったな。|
|~〇×|えっ?|
|~テリー・ボガード|いや、前に初めて会ったときもそうだったけど……。|
|~テリー・ボガード|×、俺らといる時&br;なんだか落ち着かない感じに見えてな。|
|~〇×|え……、そうですか?|
|~〇×|(あ……でも確かにそうかもしれない。)|
|~〇×|(テリーさんたちは前回KOFのチャンピオンだって&br;聞いてたし、無意識に構えちゃってたのかも。)|
|~テリー・ボガード|いくら俺らが最強のチャンピオンだからって&br;変に身構える必要はないからな。|
|~テリー・ボガード|テイクイットイージー!|
|~アンディ・ボガード|女性の肩をそんなに乱暴に叩かない。|
|~テリー・ボガード|いちいち細かいなぁ、アンディは。&br;ジャパニーズ・コジュウトか?|
|~アンディ・ボガード|ちょっ……、どこでそんな言葉覚えたの!?|
|~〇×|あははは……。|
|>|数十分後――|
|~テリー・ボガード|へぇ。それじゃあ×は、&br;今まで格闘技とは縁がなかったんだな。|
|~〇×|はい。お恥ずかしながら……。|
|~テリー・ボガード|? なんで恥ずかしいんだ?|
|~〇×|えっ? ええと、それは……。&br;みなさんに比べたら、まったくの素人ですし。|
|~テリー・ボガード|俺たちと比べる必要なんてないだろ?&br;それより、新しい世界が開けてよかったじゃないか。|
|~テリー・ボガード|KOFの世界へようこそ、×! あんたは&br;これから毎日、この世界のいろんなことを知っていけるんだ。|
|~テリー・ボガード|新しい発見と出会いに満ちた日々は、&br;きっと楽しくて仕方ないはずだぜ。|
|~〇×|…………。|
|~テリー・ボガード|……って、そうか。&br;そうも言ってられない状況だったか。|
|~テリー・ボガード|主催者のナギ、か。|
|~〇×|はい……。|
|~テリー・ボガード|なぁ、×。&br;あんまり大きな声じゃ言えないんだが……。|
|~テリー・ボガード|華やかなKOFの裏で、なんだかきなくさい連中が蠢き&br;まわってるっていうのは、別に今回が初めてじゃないんだ。|
|~〇×|えっ?|
|~テリー・ボガード|光が強ければ強いほど、影は濃くなる。|
|~テリー・ボガード|これまでにもあまたの猛者が集うKOFという光を利用し、&br;その陰に隠れて、世界を脅かす陰謀を企む連中がいた。|
|~テリー・ボガード|もともとKOF自体が、&br;ある男の野望のために始まった大会だしな。|
|~〇×|ある男の……野望……。|
|~テリー・ボガード|……あ。今、厄介な世界に足を踏み入れちまったって&br;思っただろ? 大丈夫、安心しろよ。|
|~テリー・ボガード|そういう奴らをぶっ倒して、KOFを本来あるべき姿に……。&br;元の『お祭り』の姿に戻すのも、俺たちファイターの役目だ。|
|~テリー・ボガード|他の連中は分からないが、&br;少なくとも俺はずっとそう思ってる。|
|~〇×|それじゃあ……、今までのKOFの事件も&br;テリーさんが解決を?|
|~テリー・ボガード|まさか! 俺だけじゃないさ。|
|~テリー・ボガード|アンディやジョー、それに京たち。&br;リョウたちだって、そういう連中とたくさん戦ってきたんだ。|
|~〇×|す、凄い……。&br;みなさん、まるで映画の中のヒーローみたいですね。|
|~テリー・ボガード|ハハッ、どうかな? みんな、ただ巻き込まれちまったってのが&br;本音だと思うぜ。|
|~テリー・ボガード|それに俺は、ヒーローなんてガラじゃない。&br;KOFに出始めたのだって、もとはと言えば――|
|~テリー・ボガード|――……。|
|~〇×|テリーさん?|
|~テリー・ボガード|――ん? ああ、いや。&br;ごめん、なんでもないんだ。|
|~テリー・ボガード|とにかく。×にも心置きなく&br;お祭りを楽しんでもらえるように、俺たちも協力するよ。|
|~テリー・ボガード|ま、京たちがいれば大丈夫かもしれないけどな?|
|~〇×|テリーさん……、ありがとうございます。&br;とても心強いです。|
|~草薙京|おい。うちのマネージャー捕まえて&br;いったい何の話をしてるんだ? テリー。|
|~〇×|あ、京さん。|
|~テリー・ボガード|おっと、悪い悪い!br長い間×を借りちまったな。|
|~草薙京|いや、それは別にいいんだけどよ。|
|~草薙京|前回チャンピオンとうちのマネージャーが&br;何を話してるのか、ちょっと気になっただけだ。|
|~テリー・ボガード|ハハッ、大丈夫、大丈夫!&br;京が気にしてるようなことは話してないぜ。|
|~テリー・ボガード|そっちのチームの秘策とか対策とかも&br;俺に漏らしたりしてないしな。|
|~〇×|え!?|
|~草薙京|というか、別にあんたらに対して秘策も対策もねーよ。&br;そんな姑息な手段を使わなくたって……。|
|~草薙京|俺たちの勝ちは、もう決まってるからな。|
|~テリー・ボガード|……へぇ。言ってくれるな。|
|~〇×|(!!)|
|~〇×|(ふ、ふたりからすごい気迫が……!)|
|~草薙京|こちとら、前回のKOFでは&br;あんたらのチームに借りがあるんでね。|
|~草薙京|……大将戦で負けなんざもうこりごりなんだ。&br;今回戦う相手を、前回と同じ奴だと思わねぇことだな。|
|~テリー・ボガード|そう言うからには&br;せいぜい俺を楽しませてくれるんだよな?|
|~草薙京|楽しめる余裕があればな。|
|~テリー・ボガード|オーケー! 期待してるぜ。&br;今回も返り討ちにしてやる。|
|~矢吹真吾|ああっ! 草薙さんがテリーさんとバチバチしてる!&br;おれもおれもー!|
|~ジョー・東|おっ!? なんだぁ、やるか少年!?|
|~アンディ・ボガード|ちょっと。君たち、他のお客さんの迷惑だろう?|
|~二階堂紅丸|ったく、スカしちゃって……これだから小姑は。|
|~アンディ・ボガード|おい、聞こえてるぞ……。|
|~ロバート・ガルシア|なんやなんや。&br;明日の対戦チーム、もう火花散らしとるんかい。|
|~リョウ・サカザキ|いい覇気だ。&br;格闘家たるもの、こうでなくては。|
|~包|明日が楽しみだね! ねっ、お姉ちゃん!|
|~〇×|う、うん。そうだね……。|
|~〇×|(ああああ……楽しい飲み会が、&br;ものすごく闘争心溢れる飲み会に……!)|
#endregion

//----------
**2話 [#story_02]
#region(ネタバレ注意)
|>|テリーチームとの対戦直前――|
|~〇×|給湯室まで行ってきます!|
|~草薙京|おい、ひとりで大丈夫か?|
|~〇×|そんなに離れてないので大丈夫です。&br;すぐ戻ります!|
|~〇×|(確か、給湯室に冷蔵庫があったよね。&br;『これ』、置かせてもらおうっと。)|
|~〇×|(……ん?)|
|~〇×|(今のって、アンディさん?&br;どうしたんだろう。慌ててるみたいだったけど。)|
|~〇×|(ちょうど給湯室の方に走って行ったみたいだし、&br;何があったのか聞いてみようかな。)|
|~アンディ・ボガード|はあぁ……。|
|~〇×|(あ、いたいた。)|
|~〇×|アンディさ――|
|~アンディ・ボガード|兄さんめ……いったいどこに行ったんだ……。|
|~アンディ・ボガード|あれほど控え室で待ってるようにって言ったのに……!!|
|~〇×|……。&br;あの、アンディさ――|
|~アンディ・ボガード|マスコミの人たちになんて説明しよう……。|
|~アンディ・ボガード|この間もその前も、その前の前も僕がどうにかして&br;今回ばかりはって思ってたのに……。|
|~〇×|……あのう。|
|~アンディ・ボガード|ああ、いけないいけない、平常心、平常心……!|
|~アンディ・ボガード|落ち着けアンディ・ボガード。&br;落ち着いて兄さんを探すんだ……!|
|~〇×|(あはは……必死すぎて私の声が聞こえてないみたい……。)|
|~〇×|(この様子だと、テリーさんのことを探してるのかな?&br;もうすぐ試合が始まるのに、どこに行っちゃったんだろう。)|
|~〇×|(ん?)|
|~〇×|っ!?|
|~〇×|(な、何!? 突然誰かに腕を引っ張られて……!)|
|~〇×|(口、塞がれて……っ! どうしよう……!)|
|~〇×|ん-! ん-!!|
|~???|シー……。|
|~〇×|(テリーさん!?)|
|~テリー・ボガード|こっち。|
|~〇×|ええっ!? ちょ、ちょっと――!|
|~〇×|(何がどうなってるの……??)|
|~テリー・ボガード|ん-! やっぱここからの眺めは最高だな!|
|~テリー・ボガード|みんな楽しそうだ。&br;KOFは、こうじゃなくっちゃな。|
|~〇×|……あ、あの、テリーさん……。|
|~テリー・ボガード|ん? ああ、突然連れてきたりして悪かった。|
|~テリー・ボガード|アンディが俺のこと捕まえようとしてたからさ。&br;見つかったらマズいと思って。|
|~〇×|はぁ……なんだか、マスコミの人にどう説明しようとか&br;言ってましたけど、大丈夫なんですか?|
|~テリー・ボガード|大丈夫大丈夫!&br;いつも通り、アンディがなんとかしてくれるだろ。|
|~〇×|(とても大丈夫そうな雰囲気じゃなかったです&br;……とは言わないでおこう。)|
|~テリー・ボガード|俺、マスコミの取材って苦手なんだよなぁ。&br;しゃべることなんて一つしかないっていうのに。|
|~テリー・ボガード|『戦って勝つ』。それ以上何を言えばいいんだ?&br;ファイターは拳で語るだけだってのにさ――|
|~テリー・ボガード|っと。拳じゃなくて、腹の虫が語りだしたな……。|
|~テリー・ボガード|実はちょっと腹減っちまってさ。試合前にそこの&br;カフェスタンドでホットドッグでも買おうかと思ったんだ。|
|~テリー・ボガード|あの大型スクリーンに広告出てるだろ?&br;KOF会場限定、ファイターズ・ホットドッグ!|
|~テリー・ボガード|みてたら、思わずヨダレが出てきちまってさ……。&br;×もどうだ? 奢るぜ。|
|~〇×|えっ? そんな、私は大丈夫です……!|
|~テリー・ボガード|ん? 『大丈夫』ってことは……オーケーってことだな?&br;よーし。|
|~〇×|ええっ!? そ、そういう意味ではなく……!|
|~テリー・ボガード|ヘイ! おねーさん、ファイターズ・ホットドッグ二つ。&br;一つはケチャップもマスタードも大盛りで頼む。|
|~テリー・ボガード|×は何かリクエストあるか?|
|~〇×|あ、ええと、大丈――じゃなくて!&br;私は遠慮しておきます!|
|~テリー・ボガード|遠慮すんなって、腹減ってるだろ?&br;おねーさん、いくら?|
|~カフェスタンド店員|申し訳ございません。ファイターズ・ホットドッグですが&br;本日完売しておりまして……。|
|~テリー・ボガード|カンパイ?|
|~〇×|あ……。&br;そうじゃなくて、もう売ってないってことかと……。|
|~テリー・ボガード|……。ホワット?|
|~カフェスタンド店員|申し訳ございません。本日はもうドリンクメニューのみと&br;なりますが……いかがなさいますか?|
|~テリー・ボガード|……。|
|~〇×|テ、テリーさん!?|
|~〇×|テリーさん、大丈夫ですか……?|
|~テリー・ボガード|あはは……オーケーオーケー。|
|~テリー・ボガード|いや、結構腹減ってたし、噂のファイターズ・ホットドッグ&br;めちゃくちゃ楽しみにしてたからさ……。|
|~テリー・ボガード|……はぁ。|
|~〇×|(すごい落ち込みよう。よっぽど食べたかったんだなぁ。)|
|~〇×|(それに……。)|
|~〇×|(お腹の音、さっきよりボリュームがあがってるような。)|
|~テリー・ボガード|……仕方ない。戻るか。|
|~テリー・ボガード|連れまわして悪かったな。&br;次会うときは、敵チーム同士だ。|
|~テリー・ボガード|こっちは全力で行くから、&br;京たちにも全力でかかってこいって伝えといてくれ!|
|~〇×|は、はい……。|
|~テリー・ボガード|…………。|
|~〇×|あの……。|
|~〇×|よかったら、これ。食べますか?|
|~テリー・ボガード|?|
|~〇×|(本当は、試合後に京さんたちに食べてもらおうと思って&br;作ってきたものだけど……。)|
|~テリー・ボガード|ワオ! サンドイッチか。うまそうだな!&br;……いいのか?|
|~〇×|はい。|
|~〇×|(さすがに、いたたまれないというか……。&br;放っておけないというか。)|
|~テリー・ボガード|なんか、悪いな。それじゃ一つだけ――|
|~テリー・ボガード|……お。こういうときは、『いただきます』って&br;言わないとだったな。|
|~テリー・ボガード|いただきます! …………。|
|~テリー・ボガード|――……。|
|~〇×|……? テリーさん?|
|~〇×|(あれっ。もしかして、嫌いな物とか入ってたかな!?)|
|~〇×|あ、ああああの。&br;もしアレだったら、無理に食べなくても――!!|
|~テリー・ボガード|――!! ファンタスティック!!|
|~〇×|……え?|
|~〇×|きゃっ!? テ、テリーさん!?|
|~〇×|(か、顔……! 近い……!)|
#endregion

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**3話 [#story_03]
#region(ネタバレ注意)
|~テリー・ボガード|×! このサンドイッチ、めちゃくちゃ美味いな!!|
|~〇×|えっ。|
|~テリー・ボガード|具のチョイスも俺の好みだし、使ってるソースも最高だ!|
|~テリー・ボガード|なにより、このボリューム感がいい!&br;チマチマしてなくって、がっつりしててさ!|
|~テリー・ボガード|ファイターの胃袋をよく理解してるってカンジだ!|
|~〇×|そ、そうですか?|
|~テリー・ボガード|ああ! ……あー。なあ、もう一個食っていいか?|
|~〇×|ど、どうぞ。|
|~テリー・ボガード|サンキュー!|
|~〇×|(驚いた。&br;サンドイッチ一つでこんなに喜んでくれるなんて。)|
|~テリー・ボガード|ん~!|
|~〇×|(ふふっ……美味しそうに頬張ってる。&br;テリーさん、なんだか大きい子供みたいだなぁ。)|
|~テリー・ボガード|あー。食った食った。|
|~テリー・ボガード|ありがとな、×。美味かったぜ。|
|~〇×|いえ、お粗末様でした。|
|~テリー・ボガード|オソマツなんて言うなよ。&br;三ツ星シェフもノックアウトの一級品だったぜ!|
|~〇×|それはさすがに褒めすぎです……。|
|~テリー・ボガード|ハハッ! 謙虚だなぁ、×は。|
|~テリー・ボガード|……しっかし、よかったのか?|
|~〇×|え?|
|~テリー・ボガード|これ、この国じゃいわゆる『敵に塩を送る』って行為だろ。|
|~テリー・ボガード|俺を餓えさせておけば、そっちのチームにとって&br;有利な試合になったかもしれないのにさ。|
|~〇×|……。|
|~'''〇×'''|'''最初からそんな強い人たちと当たるなんて&br;ちょっとついてないですね。'''|
|~'''草薙京'''|'''なに言ってんだ、&br;これくらいじゃなきゃ面白くねぇんだよ。'''|
|~'''草薙京'''|'''というか、別にあんたらに対して秘策も対策もねーよ。&br;そんな姑息な手段を使わなくたって……。'''|
|~'''草薙京'''|'''俺たちの勝ちは、もう決まってるからな。'''|
|~〇×|……そんなことしませんよ。|
|~〇×|だって京さんたちは、テリーさんたちとの再戦を楽しみに&br;してましたし……私だって、それは同じです。|
|~〇×|テリーさんには、本気で来てもらわないと困りますから。|
|~テリー・ボガード|よく言った!!|
|~〇×|わっ!|
|~テリー・ボガード|試すようなこと言って悪かったな。&br;×、あんたは最ッ高のマネージャーだ!|
|~〇×|え?|
|~テリー・ボガード|料理は上手いし、KOFに出るファイターの心理を&br;よーくわかってる。|
|~テリー・ボガード|おまけに気遣いもできてかわいいときた。&br;グレートだぜ!|
|~〇×|テ、テリーさ……!|
|~テリー・ボガード|なぁ、×。あんた、俺たちのチームの&br;マネージャーもやってくれないか?|
|~〇×|え!?|
|~テリー・ボガード|俺、×のこと&br;ますます気に入っちまったみたいでさ。|
|~テリー・ボガード|×みたいなやつが俺らのそばにいてくれたら&br;毎日いいファイトができると思うんだよな。|
|~テリー・ボガード|美味い飯も食えるし! へへ……。|
|~テリー・ボガード|そういうわけだからさ。&br;これからは俺たちのサポートもしてくれよ。な?|
|~〇×|そ、そんな。掛け持ちってことですか!?&br;それはさすがに……!|
|~テリー・ボガード|ダメ、か。&br;ん-、そうかぁ……。|
|~テリー・ボガード|……なら、今日の試合で俺たちが京チームに勝ったら&br;俺たちのチームのマネージャーになるってのはどうだ?|
|~〇×|!?|
|~テリー・ボガード|うん。正々堂々、それなら文句ないだろ!&br;見てろよ。必ず勝って、あんたをゲットしてみせるからな。|
|~テリー・ボガード|約束!|
|~〇×|あ、あのちょっと、テリーさん!?|
|~テリー・ボガード|♪ゆーびきーりげんまん嘘ついたらホーネットニードル&br;千発食ーらわす! 指切った!|
|~テリー・ボガード|よし、オーケー。&br;これ、日本流の約束の仕方なんだろ?|
|~???|微妙に間違ってるよ……兄さん!|
|~テリー・ボガード|おわ……!?|
|~〇×|アンディさん!|
|~アンディ・ボガード|やっと見つけた。&br;インタビューはもういいから、試合の準備!|
|~テリー・ボガード|お、もうそんな時間か。&br;さすがに試合には遅れて行けないぜ。|
|~テリー・ボガード|じゃあな、×!&br;試合、最後まで目をそらさずに見ててくれよ!|
|~アンディ・ボガード|兄さん早く!|
|~テリー・ボガード|わかってるわかってる!|
|~〇×|あ、あの、テリーさ――!|
|~〇×|……うう、行っちゃった……。|
#endregion

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**4話 [#story_04]
#region(ネタバレ注意)
|>|京チームVSテリーチームの試合後、帰り道――|
|~〇×|そういえば、夕飯の材料足りるかなぁ。&br;テリーさんたちもきっと、たくさん食べるよね。|
|~〇×|(道場に戻ったらお買いものに行かないと……。)|
|~テリー・ボガード|×。|
|~〇×|はい?|
|~テリー・ボガード|なんだかんだで、俺の希望通りの展開になっちまったな?|
|~〇×|希望通り?|
|~テリー・ボガード|忘れたのか?&br;俺たちのマネージャーにもなってほしいって言ったろ?|
|~〇×|あっ、そういえば……。|
|~テリー・ボガード|勝負には負けちまったけどな。|
|~テリー・ボガード|でも、ここにいる間は×の飯が&br;腹いっぱい食えそうで、すっげー嬉しい。|
|~二階堂紅丸|あっ。おい、テリー!&br;×ちゃんとなに内緒話してるんだよ!?|
|~テリー・ボガード|内緒だから内緒話っていうんだろ?&br;教えねぇよ。俺と彼女だけのヒミツだ。|
|~テリー・ボガード|な? ×。|
|~〇×|あっ、はい……!|
|~〇×|(さすがに危うく引き抜かれるところでした、なんて&br;言えない……。)|
|~二階堂紅丸|×ちゃん、こっちおいで。&br;……全く油断も隙もあったもんじゃないな。|
|~〇×|わっ、べ、紅丸さん!&br;そんなに引っ張らなくても、大丈夫ですよ……!|
|~テリー・ボガード|ハハッ。×は愛されてんなぁ。|
|~テリー・ボガード|勝ち取れなかったのが惜しいぜ。……。|
|~???|――それではここで、本日の試合のハイライトを&br;ご覧頂きます。|
|~???|前回チャンピオン敗退というまさかの展開に&br;驚愕した人も多いのではないでしょうか?|
|~テリー・ボガード|…………!|
|~女性キャスター|本日大注目の一戦となった&br;草薙京チーム対テリー・ボガードチームの対戦!|
|~女性キャスター|一戦目、二戦目と互いに一勝一敗。続く三戦目で&br;大将テリー・ボガードは草薙京に惜敗!|
|~女性キャスター|試合は京チームの勝利となりました。さてこの試合、&br;コメンテーターの皆様はどう見られましたか?|
|~男性コメンテーター|いやぁ、僕はテリーチームのファンなんですけど……。&br;今回は惜しかったですねー。|
|~男性コメンテーター|僕と同じで、前回チャンピオンチームーー特に&br;テリー・ボガードの戦いには期待した人も多いでしょう。|
|~男性コメンテーター|まさか、こんな早くに脱落するとは……。&br;驚いてしまって。|
|~女性キャスター|そうですねぇ。KOF前回チャンピオンの早期脱落という&br;まさに番狂わせの展開となりましたが――|
|~通行人の男性A|ほんとほんと、まさかテリーが負けるとはなー。|
|~通行人の男性B|確かにな。まぁ……、草薙も強かったけどさぁ。|
|~通行人の男性C|仕方ないだろ。チャンピオンたって&br;ずっとその座についてられるわけじゃないんだし。|
|~通行人の男性C|ま、言うなればひとつの時代が終わったってことだな。|
|~テリー・ボガード|――……。|
|~テリー・ボガード|うおっ!?|
|~テリー・ボガード|アンディ? ジョー?&br;なんだよ、急に肩なんか組んできて――|
|~ジョー・東|まさかあんな言葉、気にしちゃいねぇよな?|
|~テリー・ボガード|……!|
|~アンディ・ボガード|負けは負けだ。それは潔く認めよう。|
|~アンディ・ボガード|でも、周りの心無い言葉に耳を傾ける暇があったら&br;今日負けた%%%己を自身を(原文ママ)%%%磨いていかないとね。|
|~テリー・ボガード|おまえら……。|
|~アンディ・ボガード|それに、今日の負けは兄さんだけのせいじゃないよ。&br;……僕も甘かった。|
|~ジョー・東|オレは勝ったけどな!!|
|~アンディ・ボガード|一言多いよ、ジョー。|
|~テリー・ボガード|……ぷっ。|
|~テリー・ボガード|アッハハハハ! ったく……おまえらは!!|
|~アンディ・ボガード|うわっ!?|
|~ジョー・東|いでででで! ちょっ、首絞めんな、テリー!!|
|~テリー・ボガード|ありがとな。&br;お前らは俺の、最ッ高のチームメイトだ!!|
|~アンディ・ボガード|わかった、わかったから!|
|~ジョー・東|うおおおー! はーなせー!!|
|~矢吹真吾|あっ。テリーさんたち、いいなー!&br;おれたちもああやって肩組んで帰りましょうよ、肩!|
|~草薙京|なんでだよ……。|
|~二階堂紅丸|俺は×ちゃんとならいいけど♪|
|~草薙京|却下だ。いいから、さっさと帰るぞ。|
|~〇×|(ふふっ。テリーさんたち、本当に仲良しなんだなぁ。)|
|~〇×|(チーム、か。)|
#endregion

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*2章 [#chapter_2]

**5話 [#story_05]
#region(ネタバレ注意)
|>|伊勢へ向かう前日――|
|~ビリー・カーン|――……。|
|~???|ビリー。|
|~テリー・ボガード|ここにいたのか。|
|~ビリー・カーン|ッ!|
|~テリー・ボガード|待て! お前に聞きたいことがある。&br;少しでいいから、話をさせてくれ。|
|~ビリー・カーン|……チッ。とっとと済ませろ。|
|~テリー・ボガード|今回の大会オフィシャルチーム。&br;それと、ナギのことについてだ。|
|~ビリー・カーン|……。|
|~テリー・ボガード|伊勢に行くことになったのはいいが、これからも奴らは&br;俺たちの前に現れるだろう。|
|~テリー・ボガード|そのときのために、奴らの実力のほどを知っておきたい。&br;……ビリー。おまえは奴らをどう見てる?|
|~ビリー・カーン|…………。|
|~ビリー・カーン|奴らのことを人間っていう枠で括って見てたら&br;痛い目に遭うぜ。|
|~ビリー・カーン|いや、痛い目どころじゃない。&br;最悪死ぬかもな。|
|~テリー・ボガード|な……ッ!|
|~ビリー・カーン|……もういいだろ。&br;オレはお前と長話をしていられるような気分じゃない。|
|~テリー・ボガード|ああ……わかった。それだけで十分だ。|
|~テリー・ボガード|恩に着る、ビリー。|
|~ビリー・カーン|チッ……。|
|~ビリー・カーン|…………。|
|~テリー・ボガード|ビリー?|
|~ビリー・カーン|言っておくが、オレをここに置いてくれたことについて&br;テメェに礼を言うつもりはねェ。|
|~ビリー・カーン|寝首をかかれたくなかったら&br;不用意にオレに近寄るんじゃねェぞ。わかったな。|
|~テリー・ボガード|……ああ。おまえのほうこそ……。|
|~テリー・ボガード|元気があったら、いつでも俺を殺しに来いよ。|
|~ビリー・カーン|ッ――!|
|~テリー・ボガード|……。|
|~テリー・ボガード|さて、と。&br;今回の黒幕は、厄介だな……。|
|~テリー・ボガード|『人間っていう枠で括って見てたら』、か。&br;あのビリーにそこまで言わせるってことは、つまり……。|
|~テリー・ボガード|……奴ら、冗談抜きで『神』ってことかよ。|
#endregion

//----------
**6話 [#story_06]
#region(ネタバレ注意)
|>|伊勢に到着して間もなく――|
|~ロバート・ガルシア|おーい。もうすぐ乗り継ぎのバスが来るでー。|
|~リョウ・サカザキ|テリーチームの姿が見えないな。|
|~矢吹真吾|ジョーさんが喉が渇いたーとかで、アンディさんと&br;そこの売店に行ってくるって言ってました!|
|~矢吹真吾|おれ、呼んできます!!|
|~ロバート・ガルシア|頼むでー! あとはテリーの奴かいな?|
|~ビリー・カーン|……。|
|~〇×|あ、そこの本屋さんの前にいますね。&br;私、呼んできます。|
|~リョウ・サカザキ|ひとりで大丈夫か?|
|~〇×|すぐそこですし、大丈夫です!&br;行ってきます。|
|~〇×|テリーさん! もうすぐバスが来ますよ。|
|~〇×|テリーさ――|
|~テリー・ボガード|…………。|
|~〇×|っ……?|
|~〇×|(テリーさん、何か雑誌を読んでるみたい?)|
|~〇×|……あの、テリーさん?|
|~テリー・ボガード|!!|
|~テリー・ボガード|あ、ああ。×か。|
|~〇×|もうバスの時間です。&br;バス停に行きましょう。|
|~テリー・ボガード|そっか。悪い悪い!&br;戻ろうぜ。|
|~〇×|はい。|
|~〇×|(テリーさん、なんだか思いつめたような&br;顔をしてたけど、何の雑誌を読んでたんだろう……?)|
|~〇×|(えっと、棚に戻してたのってこれだよね。&br;『月刊マーシャルアーツ』?)|
|~雑誌の見出し|『月刊マーシャルアーツ&br;特集ザ・キング・オブ・ファイターズ!』|
|~雑誌の見出し|『前回チャンピオン、失墜!?&br;サウスタウンヒーロー、テリー・ボガードの落日――』|
|~〇×|(――え?)|
|~テリー・ボガード|×。|
|~テリー・ボガード|何してるんだ? 戻るぞ。|
|~〇×|あっ、はい!|
|~〇×|すみません。|
|~テリー・ボガード|謝ることないだろ。|
|~〇×|……。|
|~〇×|(記事の内容までは読めなかったけど……。&br;何か、ひどいこと書かれてたのかな。)|
|~〇×|あの、テリーさ――|
|~テリー・ボガード|ごめんな。|
|~〇×|……えっ?|
|~テリー・ボガード|さっきさ。&br;なんだか、ビリーと険悪な雰囲気作っちまったろ?|
|~テリー・ボガード|×が心配そうな顔してたから&br;謝っておきたくてさ。|
|~〇×|あ……、わ、私は大丈夫です!&br;気にしないでください。|
|~テリー・ボガード|そういうわけにもいかないさ。&br;多分、あいつとはこれからも剣呑な感じになるだろうし。|
|~テリー・ボガード|今後も含めて、お詫びに何か埋め合わせをさせてくれよ。&br;な?|
|~アンディ・ボガード|おーい! 兄さんたち!&br;バスが来たよー!!|
|~テリー・ボガード|今行く! ほら、行こうぜ×。|
|~〇×|は、はい!|
|~〇×|(ビリーさんのことも気になるけど……。&br;雑誌の記事のこと、聞きそびれちゃったな。)|
#endregion

//----------
**7話 [#story_07]
#region(ネタバレ注意)
|>|伊勢に滞在中のこと――|
|~〇×|(ん……? 誰か来たみたい。)|
|~テリー・ボガード|×。いるか?|
|~〇×|あっ、はい!|
|~〇×|テリーさん。どうしたんですか?|
|~〇×|(今日はお昼過ぎから&br;泉を探しに行くことになってたはずだけど……。)|
|~〇×|え?|
|~テリー・ボガード|ちょっと出かけようぜ!|
|~〇×|……え!?|
|~〇×|わっ。ちょ、ちょっとテリーさん!&br;そんなに引っ張らないでくださいー!|
|~テリー・ボガード|おおっ。ここが噂の『オハライマチ』か。&br;パンフレットで見た通り、賑わってるな!|
|~〇×|テ、テリーさん……。|
|~テリー・ボガード|ん? ……あっ!|
|~テリー・ボガード|無理矢理引っ張ってきちまって悪かった!&br;疲れたか?|
|~〇×|少しだけ……でも、大丈夫です。|
|~テリー・ボガード|ソーリー。そこのベンチで休ませてもらおうぜ。|
|~テリー・ボガード|お、すぐ横に売店もあるな。何かドリンクでも買ってくるよ。|
|~〇×|えっ。そんな、悪いです……!|
|~テリー・ボガード|いいからいいから!|
|~テリー・ボガード|ヘイ、マダム!&br;何か、女の子にうってつけの甘いドリンクはないかい?|
|~〇×|(……わぁ。&br;改めて見ると、本当に賑やかなところだ。)|
|~〇×|(人がたくさん。みんな、神宮にお参りにきたのかな?)|
|~〇×|(食べ歩きしたり、お買いものしたり。&br;みんな笑顔で楽しそう。)|
|~テリー・ボガード|お待たせ!|
|~〇×|ひゃっ!? つ、冷たっ……!|
|~テリー・ボガード|ハハハ! ナイスリアクション、×!|
|~〇×|びっくりしました……。それ、なんですか?|
|~テリー・ボガード|これこれ。&br;冷えっ冷えのフルーツジュース!|
|~テリー・ボガード|そこの店で売ってたんだ。&br;飲むだろ?|
|~〇×|(わぁ、すごい。中にフルーツがたくさん入ってる。&br;見た目もきれいだし、おいしそう……。)|
|~〇×|い、いいんですか?&br;こんな高そうなものいただいちゃって。|
|~テリー・ボガード|とか言って、飲む前からすでに目がキラキラ輝いてるぜ?|
|~〇×|(!? う、うそ。顔に出ちゃってた!?)|
|~テリー・ボガード|ぷっ、くくく……。|
|~〇×|うう、笑わないでください……。|
|~テリー・ボガード|悪い悪い! とりあえず、それ飲めよ。&br;冷たいうちにさ。|
|~〇×|あっ、そうですね。いただきます。|
|~〇×|……!&br;おいしい……!|
|~テリー・ボガード|よかったな。|
|~〇×|はい! テリーさん、ありがとうございます。|
|~テリー・ボガード|いいんだ。俺があんたを無理矢理引っ張ってきちまった&br;お詫びだからさ。|
|~テリー・ボガード|今しかチャンスがない! って思ったら&br;つい焦っちまってさ。ごめんな。|
|~〇×|チャンス?|
|~テリー・ボガード|こっちの話! さーて、俺もいただくとするか。|
|~〇×|? それってもしかして……。|
|~テリー・ボガード|ビール!|
|~〇×|ですよね……。|
|~テリー・ボガード|ノープロブレム!&br;心配しなくても、これくらいの量じゃ俺の拳は鈍らないぜ。|
|~テリー・ボガード|店のマダムによると、こいつはここの地ビールらしい。&br;と聞いたら……飲まないわけにはいかないよな?|
|~テリー・ボガード|というわけで、乾杯!|
|~テリー・ボガード|――……。|
|~テリー・ボガード|~~~っ! ぷは~~~!&br;ジャパニーズ・ビール、うめぇ~~~!!|
|~〇×|(い、いい飲みっぷり……!&br;通りすがりの人も思わず振り返ってる。)|
|~テリー・ボガード|――ふぃ~~~……。|
|~〇×|テリーさん……なんだか、いい広告になってますよ。|
|~テリー・ボガード|ん? ……おっ、本当だな!&br;店の中、さっきよりも賑わってるみたいだ。|
|~テリー・ボガード|こりゃ、店のマダムからイメージキャラクター料を&br;せしめないとだな?|
|~〇×|ふふっ。そうですね。|
|~テリー・ボガード|よーし! じゃあ、このあたりの食い物を&br;いろいろ食い漁って、店の売り上げに貢献するか!|
|~テリー・ボガード|ビール飲んだ他らつみも欲しくなったし。&br;×、付き合ってくれよ!|
|>|1時間後――|
|~テリー・ボガード|ん-! 食った食ったぁ。|
|~〇×|カキフライに、牛串に、ウインナーに、お団子――&br;はぁ、もうお腹いっぱいです。|
|~テリー・ボガード|×は俺の半分も食ってないだろ?|
|~〇×|さすがにテリーさんほど食べるのはちょっと……。|
|~テリー・ボガード|×は少食だなぁ。……。|
|~〇×|(と言いながら、まだドーナツ食べてた!)|
|~???|あのう、すみません。|
|~〇×|? はい?|
|~通行人の女性A|そのドーナツって、どこで売ってましたか?|
|~テリー・ボガード|ん? ああ、これか?&br;そこの角を曲がって、少し奥に入ったところだ。|
|~テリー・ボガード|すっげーうまいから、食べてみろよ!&br;一緒に売ってるソフトクリームも逸品だぜ。|
|~通行人の女性A|本当ですか?&br;わかりました。ありがとうございます!|
|~テリー・ボガード|おう。じゃあな!|
|~通行人の女性B|本当においしそうだよね、あのドーナツ!|
|~通行人の女性A|うん。あの人、すっごくおいしそうに食べてるんだもん。&br;気になっちゃって~……。|
|~〇×|……ふふっ。|
|~テリー・ボガード|どうした、×?|
|~〇×|いえ。なんだか本当にいい宣伝になってるなって。|
|~〇×|テリーさんって、おいしいものを食べてるとき&br;本当にいい顔になりますよね。|
|~テリー・ボガード|そうか?|
|~〇×|はい。見てると、なんというか……思わず和みます。|
|~テリー・ボガード|ナゴミ? そりゃどういう意味だ?|
|~〇×|あ、えっと……なんと言ったらいいんでしょう。&br;癒される? とも違うか。ええっと……?|
|~テリー・ボガード|! ああ、わかった。&br;『キュート』ってことだな?|
|~〇×|えっ!? キュ、キュート……??|
|~〇×|(うーん。でもまぁ、合ってる、のかな……?)|
|~テリー・ボガード|でも、俺に言わせりゃ×のほうが&br;よっぽど見ててナゴミだけどな。|
|~テリー・ボガード|特にさっきの、山盛りのフルーツ見て目を輝かせて&br;涎だらだらしてたときの顔とか!|
|~〇×|え!? わ、私そんな顔してました……!?|
|~テリー・ボガード|アッハッハッハ! 冗談だよ。冗談!|
|~テリー・ボガード|目を輝かせてたのは本当だけどな。それに、カキフライとか&br;牛串とかウインナーとか、団子を食べてたときも――|
|~テリー・ボガード|ほっぺたいっぱい膨らませて、なんだかかわいかった。&br;見ててすげえキュートだったぜ。|
|~〇×|わっ……。|
|~〇×|(頭、撫でられた……。)|
|~テリー・ボガード|――いろいろと厄介なことになっちまってるけどよ。|
|~〇×|?|
|~テリー・ボガード|たまにはこうやって、うまいものをひたすら食って、&br;バカみたいにはしゃいで……。|
|~テリー・ボガード|そうやって、ひととき戦いのことを忘れる日も&br;ファイターには必要なんだ。|
|~テリー・ボガード|×も同じだぜ。&br;たまには、こうやってバカ騒ぎしないとさ。|
|~〇×|テリーさん……。|
|~〇×|(……そういえば私、&br;今までこの街を普通に楽しんでたみたい。)|
|~〇×|(そういうの、今回の旅じゃできないだろうなって&br;思ってたのに。……。)|
|~〇×|……そうですね。息抜きも大事ですよね。|
|~〇×|テリーさん、ありがとうございます。&br;おかげで私、今とっても楽しいです!|
|~テリー・ボガード|ん。×がちょっとでも&br;息抜きできたんなら、俺も嬉しいぜ。|
|~テリー・ボガード|俺にとってもいい気晴らしになったしな。|
|~テリー・ボガード|よし、それじゃあそろそろ旅館に戻るか。&br;今日も泉探し、張り切って行こうぜ!|
|~〇×|(気晴らし……か。)|
|~'''雑誌の見出し'''|'''『月刊マーシャルアーツ&br;特集ザ・キング・オブ・ファイターズ!』'''|
|~'''雑誌の見出し'''|'''『前回チャンピオン、失墜!?&br;サウスタウンヒーロー、テリー・ボガードの落日――』'''|
|~〇×|(テリーさん、あの記事のこと気にしてるのかな……。)|
|~テリー・ボガード|×! 何してるんだ、置いてくぞ。|
|~〇×|あっ、はい! 今行きま――|
|~〇×|きゃっ、……あ!|
|~〇×|(た、大変! おじいさんにぶつかっちゃった……!)|
|~〇×|ごめんなさい、大丈夫ですか!?|
|~おじいさん|おおぅ。うむ、大丈夫じゃよ。優しい娘さん。|
|~おじいさん|この通り、ピンピンしておるわい。&br;フォフォフォ……。|
|~〇×|よかったです。すみません、本当に……。|
|~おじいさん|うむ。ワシのことは良いから&br;早くテリーのところへ行ってやりなさい。|
|~〇×|はい。本当にすみませんでし――|
|~〇×|(あれ?&br;このおじいさん、今、テリーさんの名前を――)|
#endregion

//----------
**8話 [#story_08]
#region(ネタバレ注意)
|~テリー・ボガード|×!|
|~テリー・ボガード|何かあったのか?|
|~〇×|あっ、ごめんなさい。&br;このおじいさんとぶつかっちゃって……。|
|~テリー・ボガード|おじいさん? どこにいるんだ?|
|~〇×|え? ……あ、あれ?|
|~〇×|(いない……いつの間にいなくなっちゃったんだろう?)|
|~おじいさん|……ふむ。|
|~テリー・ボガード|ふう。なんとか昼前には帰ってこられたな。|
|~〇×|はい。この分だと、お昼ごはんいらないですね。|
|~テリー・ボガード|だな。俺ももう腹いっぱいだ!&br;ハハハッ――|
|~テリー・ボガード|――って。|
|~〇×|?|
|~テリー・ボガード|あー……。やばいぞ、×。|
|~テリー・ボガード|旅館の正面玄関の前。いかにも、『ここを通りたくば&br;オレを倒していけ』って言いたげな奴が立ってる。|
|~〇×|はい?|
|~ビリー・カーン|――……。|
|~〇×|! ビリーさん……。|
|~ビリー・カーン|……どこ行ってた。|
|~〇×|(うっ……。ビリーさん、もしかしなくても怒ってる?)|
|~テリー・ボガード|なんだよビリー、そんなに怖い顔して。&br;×が怖がるだろ?|
|~ビリー・カーン|うるせえ、テメェは黙ってろ。|
|~〇×|っ……。|
|~ビリー・カーン|おいアンタ、状況はわかってるよな?&br;ナギたちに狙われてんだぞ。|
|~ビリー・カーン|アンタがいなくなったら、オレたちが今やってることは&br;全部水の泡になる。|
|~ビリー・カーン|わかったら不用意に出歩くんじゃねェ。&br;オレの目の届く範囲にいろ。いいな。|
|~テリー・ボガード|待てよ、ビリー。&br;×だって息抜きは必要だろ?|
|~ビリー・カーン|……。|
|~テリー・ボガード|このところ、おまえが四六時中&br;×の周りのガードを固めてたのは知ってたよ。|
|~テリー・ボガード|だからこっちもおまえのいない隙を見計らって&br;外に連れ出したんだ。|
|~〇×|(そ、そうだったんだ……。)|
|~ビリー・カーン|チッ。これ以上、テメェとやりあう理由を作るのは&br;ごめんなんだがな……。|
|~ビリー・カーン|そんな迂闊な真似して、万が一何かあったら&br;どう落とし前をつける気だったんだ? あァ?|
|~ビリー・カーン|ナギの野郎は神出鬼没だ。&br;いつどこで襲って来てもおかしくねェ。|
|~ビリー・カーン|ナギだけじゃねェんだ。&br;ヨミや山崎の相手もテメェひとりで務まるのかよ?|
|~テリー・ボガード|現にそうはならなかったんだからいいだろ。&br;それに……。|
|~テリー・ボガード|例え外でナギたちに遭遇したとしても、&br;×のことは俺が全力で守る。|
|~テリー・ボガード|指一本触れさせはしない。|
|~ビリー・カーン|――……。|
|~テリー・ボガード|仮定の話をしたってどうにもならないだろ?&br;とにかく、もう中に入れてくれよ。な?|
|~ビリー・カーン|……。|
|~〇×|(よかった。通してくれるみたい。)|
|~〇×|あの、ビリーさん。&br;心配をおかけして、すみませ――|
|~ビリー・カーン|いつまでも調子に乗ってんじゃねェぞ、テリー・ボガード。|
|~〇×|(っ……?)|
|~ビリー・カーン|忠告してやっただろ。奴らのことを人間っていう枠で&br;括って見てたら、痛い目に遭うと。|
|~ビリー・カーン|『俺が守る』なんて台詞は、&br;実際にナギたちに勝ってから言え。……最も――|
|~ビリー・カーン|京チームにさえ後れを取ってる今のテメェに、&br;それができるとは到底思えねェがな。|
|~テリー・ボガード|ッ――!!|
|~テリー・ボガード|――……。|
|~ビリー・カーン|いつまでも自分が最強でいられると思うな。|
|~ビリー・カーン|テメェが思ってるほど&br;ナギたちの力はヤワじゃねェんだ――|
|~〇×|……。&br;テリーさん……。|
|~テリー・ボガード|……ハハ。痛いところをつかれたな。|
|~テリー・ボガード|みっともないところを見せて悪かった。&br;ほら、中に入ろうぜ。|
|~〇×|っ……、テリーさ――|
|~〇×|――……。|
|~〇×|(私……テリーさんに&br;なんて声をかけてあげたらいいんだろう。)|
#endregion

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//----------------------------------------
*3章 [#chapter_3]

**9話 [#story_09]
#region(ネタバレ注意)
|>|K'とマキシマの本拠地にやって来た日の夕方――|
|~〇×|(……ん?)|
|~〇×|(今、屋上から降りて来たのって、……テリーさん?)|
|~???|おい、テリー!|
|~草薙京|行っちまったか。|
|~〇×|京さん。どうかしたんですか?|
|~草薙京|ん? ……お前か。|
|~草薙京|大したことじゃねぇんだけどよ。&br;テリーに手合わせを頼んだら、断られちまった。|
|~〇×|え……?|
|~草薙京|屋上でひとりでトレーニングしてたし、&br;乗ってくると思ったんだけどな……。|
|~草薙京|まぁ、そういう気分の日もあるか。|
|~〇×|……。|
|~〇×|(さっきのテリーさん、なんだか暗い顔してた。)|
|~???|フッ! ハッ! セイッッ!!|
|~テリー・ボガード|――……。|
|~テリー・ボガード|パワー……ゲイザー!!|
|~〇×|きゃっ! び、びっくりした……。|
|~テリー・ボガード|! ×!|
|~〇×|あ……ごめんなさい。トレーニングの邪魔して。|
|~テリー・ボガード|いや、いいんだ。こっちこそ驚かせて悪かった。&br;ケガしてないか?|
|~〇×|はい。大丈夫です。&br;……それにしても、すごい技ですね。びっくりしました。|
|~テリー・ボガード|サンキュ。……。|
|~テリー・ボガード|そんなことより、俺に何か用か?|
|~〇×|あ……その。&br;用ってほどではないんですけど……。|
|~テリー・ボガード|? そうなのか?|
|~〇×|……。|
|~テリー・ボガード|……変な×。|
|~〇×|!|
|~テリー・ボガード|よーしよーし。|
|~〇×|テ、テリーさん。&br;そんな、子供にするみたいに頭撫でないでくださいっ……。|
|~テリー・ボガード|ん? ハハッ……。&br;×は子供というよりは……そう! 子犬だな。|
|~〇×|子犬?|
|~テリー・ボガード|そ。&br;子犬みたいに俺に懐いて、くっついてきてくれるから。|
|~テリー・ボガード|それは嬉しいんだが……。|
|~テリー・ボガード|悪い。ちょっと、ひとりにしてくれないか?|
|~テリー・ボガード|ひとりで考えたいことがあるんだ。|
|~〇×|……。|
|~テリー・ボガード|そんなにわかりやすくしょんぼりするなよ。&br;ますます追い返しづらくなるだろ――|
|~〇×|あのっ、テリーさん。|
|~〇×|雑誌に書かれていたことなら……、&br;気にしなくていいと思います!|
|~テリー・ボガード|――!|
|~テリー・ボガード|……。|
|~テリー・ボガード|……なんだ。知ってたのか、あの記事のこと。|
|~〇×|はい……。|
|~テリー・ボガード|心配しなくても、&br;あんたが思ってるほど落ち込んでないぜ。|
|~〇×|え?|
|~テリー・ボガード|ああいうゴシップ記事は、人の不幸を面白おかしく書いて&br;楽しんでるだけって言うだろ?|
|~テリー・ボガード|あんな言葉に耳を貸すより、あの日負けちまった自分を&br;鍛える方が、よっぽど生産的だ。だから……。|
|~テリー・ボガード|もう気にしてない。|
|~〇×|……。|
|~テリー・ボガード|それよりも今は、あのときナギにまったく太刀打ち&br;できなかったことのほうがよっぽど響いてる。|
|~テリー・ボガード|あの場にいた誰もが動けなかった。&br;マキシマたちの助けがなければ、あんたは今頃……。|
|~テリー・ボガード|だから、今度はそうならないようにしたい。&br;あんたを失うことだけは、避けたいからな。|
|~〇×|テリーさん……。|
|~〇×|(そっか。テリーさんはテリーさんなりに、&br;あのことにはもう区切りをつけてたんだ。)|
|~〇×|(杞憂、だったのかな……。)|
|~テリー・ボガード|俺のことは大丈夫だから。&br;ほら、もう本拠地に戻ってな。|
|~テリー・ボガード|あんたがいないってわかったら、&br;またビリーの奴が騒ぎ出すぞ?|
|~〇×|……わかりました。あまり無理しないでくださいね。&br;それじゃあ。|
|~テリー・ボガード|おう!|
|~テリー・ボガード|…………。|
|~テリー・ボガード|――……。|
|~テリー・ボガード|もう一度。&br;もう一度だ、テリー・ボガード――|
|~テリー・ボガード|――パワー……ゲイザー!!|
|~'''ビリー・カーン'''|'''忠告してやっただろ。奴らのことを人間っていう枠で&br;括って見てたら、痛い目に遭うと。'''|
|~'''ビリー・カーン'''|'''『俺が守る』なんて台詞は、&br;実際にナギたちに勝ってから言え。……最も――'''|
|~'''ビリー・カーン'''|'''京チームにさえ後れを取ってる今のテメェに、&br;それができるとは到底思えねェがな。'''|
|~テリー・ボガード|…………ダメだ。|
|~テリー・ボガード|こんなんじゃ足りない。&br;……こんなんじゃ、ナギには勝てない。|
|~テリー・ボガード|今の俺には『あの頃』みたいな力が必要なんだ……!|

#endregion

//----------
**10話 [#story_10]
#region(ネタバレ注意)
|>|食堂からの帰り道――|
|~テリー・ボガード|ん~! うまかったなぁ、オコノミヤキ!|
|~テリー・ボガード|モダンヤキってのも最高に食べごたえがあったし。&br;あとなんだっけ。拳崇が焼いてた、あの……。|
|~〇×|明石焼きですか?|
|~テリー・ボガード|そうそう、それ! アカシヤキも不思議な食感で&br;めちゃくちゃ美味かったぜ。|
|~テリー・ボガード|なあ、×。&br;あれって普通の家でも作れるものなのか?|
|~〇×|お好み焼きなら作ったことがありますけど……。&br;他のものは練習しますね。|
|~テリー・ボガード|ということは……作れるってことだな!|
|~テリー・ボガード|そのうち×んところの道場で食えるの&br;楽しみにしてるぜ!|
|~〇×|はい。……ふふっ。|
|~〇×|(おいしいものを食べた後のテリーさん、&br;本当に幸せそうな顔してるなぁ。)|
|~〇×|(昨日はすごく思いつめた顔してたから……、&br;今日は笑顔が見られてよかった。)|
|~〇×|(道場に戻ったら、おいしいお好み焼きを作って&br;御馳走してあげよう。)|
|~〇×|――テリーさんは、今日食べたお好み焼きでどれが一番&br;おいしかったですか?|
|~〇×|やっぱり、豚玉とか? あ、でも&br;意外と魚介系もよく食べてましたっけ――|
|~テリー・ボガード|――――|
|~〇×|……? テリーさん?|
|~テリー・ボガード|×。他の連中と一緒に先に行け。|
|~〇×|え?|
|~テリー・ボガード|おい、アンディ!&br;×を頼む!|
|~〇×|……!? テリーさん!?|
|~アンディ・ボガード|どうかしたのかい?|
|~〇×|わかりません。&br;突然先に行くように言われて……。|
|~アンディ・ボガード|……何かあったのかな。&br;その前に、何か兄さんに変わったことは?|
|~〇×|特になかったと思いますけど……。|
|~ジョー・東|おーい、お前ら。何してるんだ!&br;置いてくぞー!|
|~アンディ・ボガード|……とにかく、行こう。&br;兄さんならきっと大丈夫だから。|
|~〇×|……はい……。|
|~テリー・ボガード|…………。|
|~テリー・ボガード|(確かに、一瞬だけ影が見えた気がした。&br;それに、あの気配……。)|
|~テリー・ボガード|(俺の勘違いじゃなければ、あれは間違いなく……。)|
|~テリー・ボガード|(……。)|
|~テリー・ボガード|コソコソ隠れてないで、用があるなら真正面から来い!|
|~テリー・ボガード|……。&br;来ないのか。|
|~テリー・ボガード|俺は逃げも隠れもしないからな。チェレンジャーからの&br;挑戦は、いつだって受けて立つ!|
|~テリー・ボガード|待ってるからな!|
|~ヨミ|……テリー・ボガード。|
#endregion

//----------
**11話 [#story_11]
#region(ネタバレ注意)
|>|コレクター邸宅からの帰還後・深夜――|
|~〇×|――ん……。|
|~〇×|ここ……本拠地?|
|~〇×|(そっか。私、邸宅から逃げる途中で気を失って……。&br;みんながここまで運んでくれたのかな。)|
|~〇×|っ……。&br;まだ、少し眩暈がするな……。|
|~〇×|……?|
|~〇×|(誰か起きてる?)|
|~〇×|テリーさん……?|
|~〇×|(テリーさん、ものすごく険しい顔してた……。)|
|~〇×|(っ……。&br;なんだか、胸騒ぎがする……!)|
|~テリー・ボガード|いるのはわかってるんだぜ。|
|~???|――……。|
|~テリー・ボガード|今日は姿を現したな。ヨミ、とか言ったか?|
|~テリー・ボガード|最近俺たちのことを付け回してるようだが……。&br;狙いは×だけじゃなさそうだな。|
|~テリー・ボガード|神世界の礎探しってやつか?|
|~ヨミ|……。|
|~テリー・ボガード|いいね。&br;四の五の言わず拳で語り合おうってか。|
|~ヨミ|――!|
|~テリー・ボガード|ヘッ……! ハァッ!!|
|~ヨミ|――威勢の良いことだ。|
|~テリー・ボガード|バーン・ナックル!!|
|~ヨミ|小賢しい。|
|~テリー・ボガード|ッ!?|
|~テリー・ボガード|くッ――やるじゃないか!|
|~テリー・ボガード|だが、こっちも負けてないぜ……!|
|~ヨミ|っ!|
|~テリー・ボガード|クラック・シュー!!|
|~テリー・ボガード|ッ! ライジング・タックル!!|
|~テリー・ボガード|全部見切られただと……!?|
|~ヨミ|フッ!!|
|~テリー・ボガード|ぬぁっ!?|
|~テリー・ボガード|っ――強ぇ……。|
|~ヨミ|来ないのか?&br;サウスタウンヒーロー。|
|~テリー・ボガード|言われなくても!!|
|~〇×|(……! テリーさん、いた!)|
|~〇×|(!? あの人……ヨミさん!?&br;どうしてこんなところにあの人が……。)|
|~テリー・ボガード|くあぁっ!!|
|~テリー・ボガード|くそ……!!|
|~〇×|(っ……。&br;とにかく、早くみんなに知らせなくちゃ!)|
|~???|もう行ってしまうのかい? ヒメ。|
|~〇×|――!|
|~〇×|(嘘。ナギさんまで……!?)|
|~ナギ|ふふ。神前試合はこれからが見せ場なんだ。|
|~ナギ|君もゆっくり観戦していくといいよ……。|
|~〇×|きゃ……っ!?|
|~〇×|(ダメ……身体が全然動かない!)|
|~テリー・ボガード|×!?|
|~テリー・ボガード|ッ――!! ナギ……!!&br;×に何を!?|
|~ナギ|試合中によそ見はダメだよ、テリー・ボガード。&br;――ほら。|
|~テリー・ボガード|!?|
|~〇×|テリーさん!!|
|~テリー・ボガード|っ……。ノープロブレムだ、×。&br;心配するな……!|
|~テリー・ボガード|待ってろ。すぐに、助けてやるからな!!|
|~ヨミ|フン……。|
|~ヨミ|甘い。|
|~テリー・ボガード|見切った!!|
|~ヨミ|!|
|~テリー・ボガード|パワー――|
|~テリー・ボガード|ゲイザーーー!!!!|
|~〇×|(……! すごい……&br;振り下ろした拳から、爆炎が……!)|
|~テリー・ボガード|はぁっ……はぁ――|
|~ナギ|パワー・ゲイザー。&br;ふふ……素晴らしい技だね。|
|~ナギ|でも、僕のヨミにそんな錆びついた技は効かないよ。|
|~テリー・ボガード|なっ……!?|
|~ヨミ|……。|
|~テリー・ボガード|無傷だと……!?&br;確実に喰らわせたはずなのに!|
|~ナギ|ヨミ。どうだった?&br;伝説の餓狼が放つ必殺技の感想は。|
|~ヨミ|大したことはありません。&br;……正直に申し上げて、伝説の名が聞いて呆れます。|
|~テリー・ボガード|ッ!|
|~ナギ|そう、か……まぁ、そうだろうね。|
|~ナギ|狼の牙はすっかり折れてしまった。きっともう二度と、&br;あのころのような力を発揮することはないんだろうからね。|
|~テリー・ボガード|……。&br;どういう意味だ……。|
|~ナギ|君自身が一番よくわかっているはずだよ、テリー。|
|~ナギ|『近頃の自分は昔よりずっと弱くなってしまった』……、&br;君はそう感じているんじゃないのかい?|
|~テリー・ボガード|――!!|
|~ナギ|知ってるよ。このところ君が&br;呪いか何かのようにずっと呟いている言葉。|
|~ナギ|『あの頃のような力が必要だ』って。|
|~〇×|(えっ……?)|
|~ナギ|確かに、昔の君は強かった。&br;いや……強すぎたというべきかな。|
|~テリー・ボガード|……まるで昔の俺を知ってるみたいに言うんだな。|
|~ナギ|そうだよ。僕は数万余年の永きにわたり、&br;人間たちの営みを見続けてきた。|
|~ナギ|もちろん、君という格闘家の人生も。&br;君の、復讐に捧げた人生もすべて……ね。|
|~テリー・ボガード|っ……。|
|~ナギ|かつて、サウスタウンの実力者であった男&br;ギース・ハワード。|
|~ナギ|ギースは君にとって、大切な父親の命を奪った仇敵だった。|
|~ナギ|だから君は、彼を殺してしまった。&br;復讐のためだけに磨き続けた、その拳でね。|
|~〇×|(……!)|
|~テリー・ボガード|…………。|
|~ナギ|あの頃、復讐に燃えていたころの君は&br;本当に強かったよね。|
|~ナギ|まだ年端もいかない少年の頃に、大の大人の格闘家たちを&br;子供のように投げ飛ばし、圧倒して……。|
|~ナギ|君の周りで君に敵う者など誰もいなくなった。……まさに、&br;君の中にある復讐への意思が生み出した奇跡のパワーだ。|
|~ナギ|特に、ギースタワーでの戦いはすごかったよね。あのときの&br;君には一時的とはいえ、神に匹敵するほどの強さがあった。|
|~ナギ|烈火のような闘気が、その肉の殻に収まりきらぬほど満ち。&br;全身を破って止めどなく溢れ……。|
|~ナギ|拳を打つごとに、脚を一閃するごとに、&br;自らが猛き武神となったかのような錯覚を得たはずだ。|
|~テリー・ボガード|――……。|
|~ナギ|……けれど、その頃と比べて今はどうかな?|
|~ナギ|これまでは気づかずにいられたかもしれない。でも&br;先のKOFでの敗北が、それを決定づけてしまったよね。|
|~ナギ|君の力が確実に減衰していることを。&br;君自身にも……世間の人たちにもね。|
|~〇×|(っ……。)|
|~ナギ|残念だけど、君たち人間は永遠じゃいられない。|
|~ナギ|時は無情に過ぎ、時代はゆっくりと変わっていく。|
|~ナギ|かつて『ヒーロー』や『伝説』なんて、輝かしい言葉で&br;飾られた君の栄誉も、ここまでなんだよ。|
|~ナギ|それがこの世界での運命なんだ。&br;悲しいことにね……。|
|~テリー・ボガード|っ……。&br;好き勝手言ってくれるな……。|
|~ナギ|でも、事実だよ。|
|~ナギ|君もそうだと薄々わかってる。だからこそ、そうやって&br;錆びた拳を固く握りしめているんだよね?|
|~テリー・ボガード|違う――!|
|~ナギ|僕が力をあげようか。テリー・ボガード。|
|~テリー・ボガード|……!?|
|~〇×|(え……?)|
|~ナギ|ほら、見ててごらん。さぁ、行くよ――|
|~テリー・ボガード|……!? その構え、まさか――!|
|~ナギ|――パワー・ゲイザー。|
|~テリー・ボガード|うわああぁぁぁぁっ!!!!!!!!!|
|~〇×|テリーさん!!|
|~〇×|(嘘……今のは、テリーさんの技……。どうして!?)|
|~ナギ|どうしてって顔をしているね。ヒメ。|
|~ナギ|何も驚くことはないよ。僕は神なんだから。|
|~テリー・ボガード|っ……う……。|
|~〇×|(どうしよう……このままじゃテリーさんが、&br;テリーさんが……っ!)|
|~ナギ|ちょっと力が強すぎたかな?|
|~ナギ|でも今のパワーゲイザーは、かつての君のそれと&br;同等の威力になるよう調整したつもりなんだけどね。|
|~テリー・ボガード|なん……だと。|
|~ナギ|僕が君に力を注ぎこめば、君もこのくらい……、&br;いや、これ以上の威力を発揮できるだろう。|
|~ナギ|どう?&br;もう一度『あの頃の力』を手にしたいとは思わないかい?|
|~テリー・ボガード|――……。|
|~ナギ|失ったものを取り戻すだけだよ?&br;別に悪いことじゃない。|
|~ナギ|君にとって良い話だと思うんだけどな……。|
|~テリー・ボガード|…………。|
|~〇×|っ……。|
|~〇×|(テリーさん……どうして黙ってるの……?)|
|~'''テリー・ボガード'''|'''もう気にしてない。'''|
|~〇×|(あのときはあんなふうに言ってた……。&br;でも、まさか……。)|
|~〇×|(テリーさん……!)|
#endregion

//----------
**12話 [#story_12]
#region(ネタバレ注意)
|~テリー・ボガード|……。|
|~テリー・ボガード|仮に俺がその申し出を受けたとして……、&br;あんたらは俺に何を望む?|
|~ナギ|ふふ……いや、何も。|
|~ナギ|君はただ、落日の運命に抗いこの力を願えばいい。&br;それで僕の欲しいものも手に入る。|
|~テリー・ボガード|神世界を支える礎、か。|
|~ナギ|……。|
|~〇×|テリーさん……!|
|~テリー・ボガード|心配するな、×。|
|~テリー・ボガード|ナギ。残念だが答えはノーだ。あんたらは、俺が失った力を&br;望む理由までは考えつかなかったのか?|
|~テリー・ボガード|俺が今、あの頃の自分の力を望む理由は――|
|~テリー・ボガード|おまえらをぶっ倒して、×を守るためだ!!|
|~〇×|(……!)|
|~ナギ|……残念だよ。かつての伝説。|
|~ナギ|それじゃあ君は、この先一生弱いままだね?|
|~テリー・ボガード|ぐああああっ!?|
|~ヨミ|図に乗るな|
|~〇×|テリーさん!!|
|~テリー・ボガード|っ……く……。|
|~ヨミ|ナギ様。|
|~ナギ|わかってる。彼にもう用はないね。|
|~ナギ|残念だけど、他の礎を見つけることにしよう。|
|~〇×|っ……。|
|~ナギ|ヒメ? 怖い顔をして、どうしたんだい?|
|~ナギ|……もしかして、怒っているのかな? 誤解しないで。&br;僕はね、弱い彼らを助けてあげたいだけなんだ。|
|~ナギ|彼らは僕ら神とは違う。&br;哀れで、弱い存在だ。|
|~ナギ|伝説の餓狼と、サウスタウンヒーローと呼ばれた&br;彼だって、今はもうただの脆弱な肉塊でしか――|
|~テリー・ボガード|……るな……。|
|~ヨミ|!|
|~テリー・ボガード|そいつに……。|
|~テリー・ボガード|×に、触るな……!!|
|~〇×|テリーさん!|
|~ナギ|まだやるのかい?|
|~テリー・ボガード|うおおおおぉぉ――――!!!!&br;バーン・ナックル!!!!|
|~ヨミ|ハッ!!|
|~テリー・ボガード|か、はっ――!!|
|~ヨミ|ナギ様の前で、見苦しい姿を晒すな……。|
|~〇×|やめて、もう……もう止めて下さい……!|
|~テリー・ボガード|っ、う……ぐ……!! くぁ――|
|~ヨミ|――果てろ。|
|~〇×|……っ、だめぇぇ――!!|
|~ヨミ|……!|
|~ナギ|……邪魔が入ってしまったかな。|
|~アンディ・ボガード|兄さん! 〇さん!|
|~ジョー・東|ナギ、ヨミ! テメェら……っ!!|
|~ビリー・カーン|――――|
|~〇×|――! みなさん!|
|~ナギ|やれやれ。&br;君たちも、神前試合をご希望かな?|
|~ナギ|ふふ。確かに君たちのほうが、よっぽど素晴らしい戦いを&br;見せてくれそうだ。|
|~ナギ|朽ちてしまった伝説なんかよりも……ね。|
|~テリー・ボガード|ッ――!|
|~アンディ・ボガード|行くよ、ジョー!|
|~ジョー・東|うおうっ!!br食らえぇ! ハリケーン――|
|~テリー・ボガード|手を出すな!!|
|~ジョー・東|なっ……!?|
|~テリー・ボガード|――……。|
|~テリー・ボガード|悪い……俺ひとりでやらせてくれ……!|
|~アンディ・ボガード|何を言ってるんだ、兄さん!!&br;そんな傷で、ひとりじゃ――|
|~テリー・ボガード|黙ってろ!|
|~アンディ・ボガード|……兄さん……?|
|~ビリー・カーン|…………。|
|~ナギ|ふふ……ふふふ。|
|~ナギ|残念だけど、今宵はここまでのようだね。&br;ヨミ、そろそろお暇しよう。|
|~ナギ|ああ……ヒメの戒めも解いてあげないとね。|
|~〇×|あっ……、動ける……?|
|~ナギ|叶うことなら、もう少し君と一緒にいたかったけど……。|
|~ナギ|また会う日まで。……そのときは、君の魂を必ず&br;その肉の殻から解き放ってあげようね。|
|~ナギ|ふふふ……。|
|~ジョー・東|……消えちまった。|
|~アンディ・ボガード|〇さん、大丈夫かい?|
|~〇×|はい。ありがとうございます。&br;でも、みなさんはどうしてここに……?|
|~アンディ・ボガード|僕とジョーは、たまたま外にいてね。街でヨミがうろついて&br;いたのを見かけて、用心のために戻ってきたんだ。|
|~ビリー・カーン|俺は本拠地周辺をずっと警戒してた。それだけだ。|
|~〇×|そう、だったんですか……。|
|~ビリー・カーン|んなことより、アンタのほうこそ。&br;勝手に寝床抜け出して、こんなとこにきやがって。|
|~ビリー・カーン|またぶっ倒れる前に、戻るぞ。ほら。|
|~〇×|……。|
|~〇×|(テリーさん……。)|
|~アンディ・ボガード|兄さん。立てるかい?|
|~テリー・ボガード|……ああ。|
|~ジョー・東|危ないところだったよなー!&br;オレたちが来なかったら、どうなってたことか!|
|~ジョー・東|ほらほら、感謝しろよー?&br;お礼に、何か美味いもん奢ってくれてもいいんだぜー?|
|~アンディ・ボガード|ジョー。食事なら、さっき店で済ませたばかりだろ?|
|~ジョー・東|人の奢りなら無限に食える!|
|~アンディ・ボガード|まったく、調子のいいことを――|
|~テリー・ボガード|……なくたって……。|
|~ジョー・東|ん?|
|~アンディ・ボガード|兄さん? 何か言った?|
|~テリー・ボガード|おまえたちが来なくたって……俺ひとりでなんとかできた。|
|~アンディ&ジョー|――――|
|~テリー・ボガード|っ――――|
|~ジョー・東|……あ、あー。|
|~ジョー・東|お、おいおいおいおい!&br;なぁに強がったこと言ってんだ、お前!!|
|~ジョー・東|それじゃ何か? オレたちはお邪魔だったってのかよ?&br;って、んなワケねぇよな。ハハハハハ!!|
|~テリー・ボガード|――……。|
|~ジョー・東|……マジで言ってんのかよ。|
|~アンディ・ボガード|兄さん……?|
|~〇×|(テリーさん……。)|
|~〇×|うっ……!|
|~〇×|(また、眩暈が……。&br;立って、いられない……。)|
|~〇×|(こんな時、に――)|
|~ビリー・カーン|!? おい!!|
|~テリー・ボガード|!! ×!?|
|~テリー・ボガード|×、しっかりしろ! ×!|
|~テリー・ボガード|×――|
#endregion

//----------
**13話 [#story_13]
#region(ネタバレ注意)
|>|最後の神鏡の在り処へ向かう直前――|
|~テリー・ボガード|×!|
|~〇×|きゃっ!|
|~〇×|(びっくりした。&br;突然テリーさんの手が、私の頭に……。)|
|~テリー・ボガード|ったく。他の連中は散々褒めちぎっておいて、&br;俺には何もナシかよ?|
|~テリー・ボガード|あーあ。&br;俺も×に乗せられたかったなー。|
|~〇×|……テリーさん……。|
|~テリー・ボガード|ん?|
|~〇×|(テリーさん、昨晩のことなんてなかったみたいに&br;元気そうだけど……。)|
|~'''ナギ'''|'''残念だけど、君たち人間は永遠じゃいられない。'''|
|~'''ナギ'''|'''時は無情に過ぎ、時代はゆっくりと変わっていく。'''|
|~'''ナギ'''|'''かつて『ヒーロー』や『伝説』なんて、輝かしい言葉で&br;飾られた君の栄誉も、ここまでなんだよ。'''|
|~'''ナギ'''|'''それがこの世界での運命なんだ。&br;悲しいことにね……。'''|
|~アンディ・ボガード|兄さん。|
|~テリー・ボガード|なんだよアンディ。怖い顔して。|
|~アンディ・ボガード|昨晩のことで、話が――|
|~テリー・ボガード|なんだよ、その話ならもう済んだだろ?|
|~アンディ・ボガード|兄さん……!|
|~アンディ・ボガード|…………。|
|~〇×|あの……アンディさん。テリーさんは……。|
|~アンディ・ボガード|昨日の夜から、ずっとあんな感じだよ。&br;なんだか、無理に笑っているみたいなんだ。|
|~〇×|そうですか……。|
|~アンディ・ボガード|〇さんが倒れた後、&br;兄さんから詳しい事情を聞こうとしたんだけど……。|
|~アンディ・ボガード|あの調子で『何も問題ない』って言うだけでね。&br;よかったら、君の口から聞かせてくれないかな。|
|~〇×|…………。|
|~テリー・ボガード|――……。|
|~〇×|テリーさん。|
|~テリー・ボガード|ん? ……ああ、×か。&br;出発の準備は整ったのか?|
|~テリー・ボガード|これで最後の神鏡だからな。&br;×も気合い入れていけよ、な?|
|~〇×|はい。……でも。|
|~〇×|その前に、テリーさんとお話がしたいんです。&br;少しだけでも……。|
|~テリー・ボガード|…………。|
|~テリー・ボガード|…………。&br;そっか。|
|~テリー・ボガード|悪い。&br;なんか、余計な心配かけてるみたいだな。|
|~テリー・ボガード|でも、俺のことは心配しないでくれ!&br;もう大丈夫だから。|
|~〇×|――……。|
|~テリー・ボガード|さ。もう下に行こうぜ!|
|~テリー・ボガード|これから世界を救おうってんだ! そんな時に、敵の&br;いうことなんか気にしてウジウジしてられないだろ?|
|~テリー・ボガード|そんなのは俺らしくない。|
|~〇×|テリーさん……。|
|~'''テリー・ボガード'''|'''もう気にしてない。'''|
|~〇×|(あの時は、テリーさんの言葉を信じて&br;もう大丈夫なんだって思ってた。)|
|~〇×|(けど……。)|
|~テリー・ボガード|!|
|~〇×|……。|
|~テリー・ボガード|……なんだよ。どうしたんだ?&br;急にシャツの裾掴んだりして。|
|~〇×|テリーさん。&br;ここなら、私以外誰もいません。|
|~〇×|不安に思ってることとか……そういうの&br;よかったら全部吐き出してください。|
|~テリー・ボガード|……!|
|~〇×|テリーさんはいつも明るくて、前向きでかっこよくて……。&br;ヒーローって言われるの、よくわかります。|
|~〇×|でも、ヒーローだって&br;たまには弱音を吐いたっていいと思うんです。|
|~テリー・ボガード|×……。|
|~〇×|私、最近やっとみんなとチームになれた気がしてるんです。&br;テリーさんとも……。|
|~〇×|だから、チームメイトにはなんでも話してください。&br;……ひとりで抱え込まないでください。|
|~〇×|テリーさんは、ひとりで戦ってるわけじゃないんですから。|
|~テリー・ボガード|…………。|
|~テリー・ボガード|……。&br;悪い……。|
|~テリー・ボガード|話したってどうなるわけじゃないんだ。&br;これは俺自身の問題だから。|
|~〇×|でも、話すだけでも――|
|~テリー・ボガード|っ……。|
|~〇×|……ごめんなさい、私――|
|~テリー・ボガード|何てことない話さ。&br;……こんなのは、ちょっとしたスランプだ。|
|~〇×|スランプ……?|
|~テリー・ボガード|ナギに言われるまでもなく、とっくに気づいてたさ。|
|~テリー・ボガード|近頃、昔みたいなパワーが&br;出せなくなってきてるってことに。|
|~〇×|……!|
|~テリー・ボガード|俺は、ヨミにもナギにも太刀打ちできなかった。&br;全力を出しきっても……ダメだった。|
|~テリー・ボガード|伊勢のときみたいに、手も足も出ないまま&br;あんたを奪われるのはごめんだと思ってたのに。|
|~テリー・ボガード|……ま、結果的に×は無事でよかったし、&br;鏡さえそろえば、この騒動も終わる。でも……。|
|~テリー・ボガード|俺はこの先、ずっと後悔しそうでさ。あの時、あの肝心な&br;時に、どうして実力を出しきれなかったんだろうって。|
|~テリー・ボガード|そんなんで、これからも何かと戦ったり&br;何かを守ったりできるのかよ、って……。|
|~テリー・ボガード|さっきまでずっと、そんなこと考えてた。|
|~〇×|…………。|
|~テリー・ボガード|……でもさ!|
|~テリー・ボガード|これがもし単なるスランプなら&br;そのうち抜け出せると思うんだ。|
|~テリー・ボガード|俺は諦めない。&br;絶対に、あの頃の力を取り戻してみせる。|
|~テリー・ボガード|今度は×のこと、br最後まで守り切って見せるから……。|
|~テリー・ボガード|だから、あんたがそんな心配そうな顔する必要ないって。&br;な?|
|~〇×|…………。|
|~〇×|テリーさんの言うあの頃っていうのは、お父さんの敵討ちを&br;しようとしていた頃の……ですよね。|
|~テリー・ボガード|…………。|
|~テリー・ボガード|ああ。|
|~〇×|その頃のテリーさんは、そんなに強かったんですか……?|
|~テリー・ボガード|…………。|
|~テリー・ボガード|俺の父さんは、優しくて、強くて、かっこよくて。&br;俺にとってはこの世で最高のヒーローだった。|
|~テリー・ボガード|そんな父さんと、弟のアンディと過ごした日々を……。&br;あの男は笑いながら壊していった。|
|~テリー・ボガード|だから、俺たち兄弟は復讐を誓ったんだ。&br;そのために強くなる、と。|
|~テリー・ボガード|あの頃の俺なら、たとえナギとヨミが俺たちの前に現れても&br;あんたを守りきることができたはずなんだ。|
|~テリー・ボガード|そう思って、伊勢での一件以来&br;ずっと思い出そうとしてる。|
|~テリー・ボガード|あの頃の俺はどうだったか、って。&br;そうすれば、取り戻せるような気がしたんだ。|
|~テリー・ボガード|昔の俺の、あの強さを……。|
|~〇×|…………|
|~〇×|(昔のテリーさん。&br;お父さんの敵討ちに燃えていた頃の……。)|
|~〇×|(復讐に生きた、テリーさん……。)|
|~'''テリー・ボガード'''|'''……あ。今、厄介な世界に足を踏み入れちまったって&br;思っただろ? 大丈夫、安心しろよ。'''|
|~'''テリー・ボガード'''|'''そういう奴らをぶっ倒して、KOFを本来あるべき姿に……。&br;元の『お祭り』の姿に戻すのも、俺たちファイターの役目だ。'''|
|~'''テリー・ボガード'''|'''他の連中は分からないが、&br;少なくとも俺はずっとそう思ってる。'''|
|~'''テリー・ボガード'''|'''×にも心置きなく&br;お祭りを楽しんでもらえるように、俺たちも協力するよ。'''|
|~'''〇×'''|'''ひゃっ!? つ、冷たっ……!'''|
|~'''テリー・ボガード'''|'''ハハハ! ナイスリアクション、×!'''|
|~'''〇×'''|'''びっくりしました……。それ、なんですか?'''|
|~'''テリー・ボガード'''|'''これこれ。&br;冷えっ冷えのフルーツジュース!'''|
|~'''テリー・ボガード'''|'''そこの店で売ってたんだ。&br;飲むだろ?'''|
|~'''テリー・ボガード'''|'''俺が今、あの頃の自分の力を望む理由は――'''|
|~'''テリー・ボガード'''|'''おまえらをぶっ倒して、×を守るためだ!!'''|
|~〇×|(……。)|
|~テリー・ボガード|――とにかく、そんなわけだからさ。|
|~テリー・ボガード|俺は俺で、どうやったらあの頃の力を取り戻せるか&br;考えてくつもりだ。|
|~テリー・ボガード|あんたが気にすることじゃない。&br;あんたは、今は自分と世界のことを考えて――|
|~〇×|あの……テリーさん。|
|~テリー・ボガード|――ん?|
|~〇×|ひとつだけ思ったことを言わせてください。|
|~〇×|……私、どうしても想像できないんです。&br;昔の……復讐に燃えていた頃のテリーさんの姿が。|
|~テリー・ボガード|っ……?|
#endregion

//----------
**14話 [#story_14]
#region(ネタバレ注意)
|~〇×|……私、どうしても想像できないんです。&br;昔の……復讐に燃えていた頃のテリーさんの姿が。|
|~〇×|だって今のテリーさんは、優しくて明るくて、かっこよくて&br;……私にとってはヒーローみたいな人に見えます。|
|~テリー・ボガード|…………。|
|~テリー・ボガード|…………。&br;俺は、ヒーローなんかじゃないさ。|
|~テリー・ボガード|怒りに身を任せ、復讐に手を染めた。……そうやって自分と&br;同じように、憎しみを抱く人間を増やしてしまった。|
|~テリー・ボガード|俺は今も昔も、ヒーローなんかじゃない。&br;これからもずっと――|
|~〇×|っ……。&br;それでも……。|
|~〇×|私は……テリーさんに『あの頃の強さ』を&br;目指して欲しいとは思いません。|
|~〇×|『あの頃』に戻らなくたって、今のテリーさんには&br;今のテリーさんの強さがあるんじゃないでしょうか……!|
|~テリー・ボガード|…………。|
|~テリー・ボガード|今の、俺の……?|
|~〇×|……すみません。こんなの、完全に&br;素人意見でしかないかもしれないんですけど……。|
|~〇×|テリーさんが昔のような力を出せないのには&br;何か理由があるんだと思います。|
|~〇×|たとえば……。&br;テリーさん自身が大きく変わってしまった、とか。|
|~テリー・ボガード|!|
|~〇×|さっきも言ったように、私から見たテリーさんは、&br;ヒーローみたいな人なんです。|
|~〇×|復讐に生きた人とは思えないくらいに。&br;だから……。|
|~〇×|だからこそ今は、&br;昔とは違う力を身につける時なんじゃないかって……。|
|~テリー・ボガード|――……。|
|~〇×|すみません。&br;私、格闘家でもないのに知ったような口利いて……。|
|~テリー・ボガード|…………。|
|~〇×|テリーさん?|
|~テリー・ボガード|…………。&br;悪い……。|
|~テリー・ボガード|ちょっと、ひとりで考えさせてくれないか。|
|~〇×|……わかりました。&br;すみません、なんだかいろいろと……。|
|~テリー・ボガード|謝るなよ。|
|~〇×|…………。|
|~テリー・ボガード|…………。&br;今の俺の強さ……か。|
|~???|お、やっと降りてきたな。|
|~テリー・ボガード|おまえら……。|
|~アンディ・ボガード|昨日何があったのかは、〇さんから&br;だいたい聞かせてもらったよ。|
|~テリー・ボガード|…………。|
|~テリー・ボガード|昨日は悪かったな。&br;当り散らしたりして。|
|~ジョー・東|いいっていいって! アレだろ?&br;ちょーっと頭に血が上がってただけだろ?|
|~ジョー・東|ま……でも、これからは無茶すんなよ。&br;チームで戦うのがKOFなんだ。|
|~ジョー・東|俺の最強伝説をつくるためには、テリーもアンディも&br;欠かせない大切な仲間なんだぜ。|
|~ジョー・東|だから、そっちも遠慮なく頼ってこいよな!|
|~テリー・ボガード|×にも同じこと言われた。|
|~アンディ・ボガード|〇さんと話したおかげかな?&br;何か光明が見えたみたいだね、兄さん。|
|~テリー・ボガード|……ああ。&br;少しだけ、な。|
|~アンディ・ボガード|そっか。&br;それなら、僕からも一言。|
|~テリー・ボガード|……?|
|~アンディ・ボガード|……兄さん。兄さんは今まで長いことチャンピオンの座に&br;ついていたから、忘れているのかもしれないけど。|
|~アンディ・ボガード|今一度『餓狼』という二つ名のこと、&br;よくよく思いだしてみたほうがいいんじゃないかな。|
|~アンディ・ボガード|その二つ名は、兄さんの何を表していたんだっけ?|
|~テリー・ボガード|――!|
|~アンディ・ボガード|さて。&br;いい加減そろそろ、神鏡のところへ向かわないとね。|
|~ジョー・東|だな! 絶対に世界を救ってみせるぜー!!|
|~テリー・ボガード|……。|
|~テリー・ボガード|餓狼……か。|

#endregion

&aname(top){上へ戻る};
//----------------------------------------
*4章 [#chapter_4]

**15話 [#story_15]
#region(ネタバレ注意)
|>|沖縄へ向けて旅立つため、空港を目指す最中――|
|~草薙京|このあたりにも、暴走した奴らが増えてきたな。|
|~マキシマ|ああ。彼らには悪いが、&br;道中蹴散らしながら向かうしかないらしい。|
|~K'|チッ。面倒くせぇ……。|
|~草薙京|×はそこの物陰に隠れてろ。&br;片付くまで出てくるんじゃねぇぞ。|
|~〇×|はいっ!|
|~〇×|(今こうしてる間にも、日本中のあちこちで&br;これと同じような光景が繰り広げられてる。)|
|~〇×|(早く沖縄へ行って、ナギさんをなんとかしないと……。&br;……あ!)|
|~暴徒A|ゲヒッ……、グヒヒ……。|
|~暴徒B|ウウ、グルル……!|
|~おじいさん|……むぅ……。|
|~〇×|(あのおじいさん、&br;暴走した人たちに囲まれちゃってる!)|
|~〇×|(このままじゃ危ない……!&br;でも、みんなは向こうで戦ってるし……。)|
|~暴徒A|ゲヒャッ! ヒャヒャヒャヒャー!!|
|~〇×|(っ――、迷ってる暇なんかない!)|
|~〇×|(私の浄化の力で、あの人たちを正気に戻せば……!)|
|~〇×|ま……待ちなさい!|
|~暴徒A|グゥ?|
|~暴徒B|グル……グガゥッ!!|
|~〇×|(私じゃこの暴徒たちを倒すことはできない……。&br;だからせめて、おじいさんを逃がすだけでも!)|
|~???|ウウ、ウウウ……。|
|~〇×|っ!?|
|~〇×|(まずい……! 暴徒がさらに増えて――)|
|~暴徒たち|ウウウウオオオオ……!!|
|~〇×|っ……。おじいさん、逃げてください!&br;こ、ここは私が!|
|~おじいさん|親切にありがとさん。&br;でも、ワシは大丈夫じゃよ。勇ましいお嬢さん。|
|~〇×|……え?|
|~おじいさん|ほれ。危ないから下がっていなさい。&br;……むううう……。|
|~〇×|(!? な、何……? 地震!?)|
|~暴徒A|ッ!? ギ、ギギ……!?|
|~暴徒B|ヒィィ……!?|
|~暴徒C|ウグッ……!?|
|~おじいさん|……オオオオオオ……。|
|~〇×|(! 違う、地震じゃない……!&br;これは――)|
|~おじいさん|ムオオオオオオオオオオオ…………!!!!|
|~おじいさん|受けよ。八極聖拳奥義……。|
|~おじいさん|旋風ウゥゥ――剛拳ンンンンンンンンン!!!!!|
|~〇×|うう……。&br;いったい、今、何が――|
|~〇×|(……!?&br;あんなに居た暴徒が一瞬で……。)|
|~おじいさん|大丈夫かの?|
|~〇×|え!? は、はいっ。|
|~おじいさん|うむ。……と、いかんいかん。往来でちとハデに&br;やりすぎたわい。ふぉっふぉっふぉっ……。|
|~〇×|(というか、視界が見えなくなる直前、おじいさんの身体が&br;ものすごい巨大化? したような……??)|
|~〇×|(いやいや、何言ってるの私。そんなことあるわけ――)|
|~おじいさん|さて、お嬢さん。&br;この通り、この老いぼれのことは心配せんでもよい。|
|~おじいさん|テリーたちのところに戻りなさい。&br;あちらもそろそろ、カタがつく頃じゃろうて。|
|~〇×|あっ、はい……。&br;って、あれ?|
|~〇×|(このやりとり、前にもどこかで――&br;……あ!!)|
|~'''おじいさん'''|'''うむ。ワシのことは良いから&br;早くテリーのところへ行ってやりなさい。'''|
|~'''〇×'''|'''はい。本当にすみませんでし――'''|
|~'''〇×'''|'''(あれ?&br;このおじいさん、今、テリーさんの名前を――)'''|
|~〇×|(このおじいさんって、あのときの……!)|
|~おじいさん|どうやら、ワシのことを思い出してくれたようじゃな。&br;ふぉっふぉっふぉっ……。|
|~〇×|あ、あの。あなたはいったい……?|
|~おじいさん|なぁに、名乗るほどの者でもない。|
|~おじいさん|それよりもお嬢さん。&br;ワシはお嬢さんに本当に感謝しておる。|
|~おじいさん|お嬢さんのおかげで、王座の上で胡坐をかいて寝こけて&br;おったワシの弟子が、ようやっと目を覚ましおった。|
|~〇×|えっ……?|
|~おじいさん|ワシがすべきと思っていたことを、お嬢さんがすべて&br;やってくれたということじゃ。|
|~おじいさん|心から礼を言うぞ。この戦いに、&br;もうこの老いぼれの出番はなさそうじゃわい。|
|~おじいさん|あとは、お若い者同士で……ふぉっふぉっふぉっ。|
|~〇×|あの、あじいさんはいったい……。|
|~おじいさん|うむ。ぼけた老人のたわごとと思って&br;忘れてくれて構わん。|
|~おじいさん|ただ……そうじゃな。&br;テリーの奴めに、これだけは渡しておいてくれんかの?|
|~〇×|……? これを、テリーさんに?|
|~テリー・ボガード|×ー! どこだー!?|
|~〇×|あっ、テリーさん。こっちです!|
|~テリー・ボガード|×! 無事でよかった……。&br;何してるんだ、こんなところで。|
|~〇×|すみません。このおじいさんが、&br;暴走した人に襲われてて――|
|~〇×|……って、もういない!?|
|~〇×|(本当に何者なの、あのおじいさん……!!)|
|~テリー・ボガード|?&br;なぁ。その手に持ってる紙、何だ?|
|~〇×|え? あっ、はい。&br;これ、そのおじいさんがテリーさんに、って。|
|~テリー・ボガード|……。&br;ホワット?|
|~〇×|私もよくわからないんですけど、とにかくテリーさんに&br;渡してほしいって言ってました。手紙……でしょうか。|
|~〇×|そのおじいさん、テリーさんのことを知っているみたい&br;でしたけど……テリーさん、何か心当たりありますか?|
|~テリー・ボガード|どうだろうな。&br;とりあえず、読んでみるよ。|
|~テリー・ボガード|…………。|
|~テリー・ボガード|――!!|
|~〇×|テリーさん?|
|~テリー・ボガード|×。みんなと先に行っててくれ。&br;俺もすぐ向かう!!|
|~〇×|えっ……テ、テリーさん!?|
|~テリー・ボガード|――……。|
|~テリー・ボガード|さすがにどこにもいない、か。|
|~テリー・ボガード|……まったく。&br;遠くから見守ってるだけなんて、人が悪いですよ。|
|~テリー・ボガード|でも……。|
|~手紙|――狼よ、餓え続けよ。|
|~|修行の道に終わりはない。&br;この老体とて、未だ見ぬ己の力に飢えておる。|
|~|精進せよ。人の作り出したる王座など&br;小さきものと知れ。|
|~|王座は常に、己の頭上にのみ存在す――|
|~テリー・ボガード|……。|
|~テリー・ボガード|お言葉、身に染みました……。|
|~テリー・ボガード|ありがとうございます。タン先生!|
#endregion

//----------
**16話 [#story_16]
#region(ネタバレ注意)
|>|ガソリンスタンドにて、KOFファンの男性を&br;救出後――|
|~KOFファンの男|はい、オッケーです!&br;写真撮れました! ありがとうございます!|
|~草薙京|こんなときに記念撮影をすることになるなんてな……。|
|~アンディ・ボガード|というか、いつの間にか増えてない?&br;ひとり、ふたり、……五人?|
|~KOFファンの男|えへへ……電話して、近くに住んでる仲間を&br;呼んじゃいました。|
|~二階堂紅丸|男ばっかり……女の子はいないわけ?|
|~???|テリー!!|
|~テリー・ボガード|ん?|
|~眼鏡をかけた男性|あっ……、うわぁ、本物のテリーだ……!&br;かっけぇ……!|
|~〇×|(あ……。&br;この人、テリーさんのファンなのかな?)|
|~眼鏡をかけた男性|あ、あの……テリー、えっと……。|
|~テリー・ボガード|……。握手か?|
|~眼鏡をかけた男性|は、はいっ!!|
|~テリー・ボガード|オーケー、いいぜ。|
|~眼鏡をかけた男性|わぁ……か、感無量だよ!&br;ありがとう、テリー!!|
|~眼鏡をかけた男性|――……。|
|~テリー・ボガード|? どうかしたのか?|
|~眼鏡をかけた男性|テリー。&br;その……あのさ……。|
|~眼鏡をかけた男性|っ……。&br;テリーの時代が終わったなんて、嘘だよな!?|
|~テリー・ボガード|――!|
|~眼鏡をかけた男性|俺、KOFのファイターの中で&br;テリーのことを一番応援してるんだ……。|
|~眼鏡をかけた男性|テリーは不滅のチャンピオンで、俺にとっては&br;最高のヒーローだから……。|
|~眼鏡をかけた男性|だから、あの雑誌の記事見たときは腹が立って、もう……。&br;すっごく、すっごく……悔しかったんだ!!|
|~眼鏡をかけた男性|伝説の餓狼がここで終わるわけないって!!|
|~テリー・ボガード|……あんた……。|
|~眼鏡をかけた男性|っ……。うう……。|
|~〇×|(この人は、格闘家である&br;テリーさんにこんなにも……。)|
|~眼鏡をかけた男性|っ……。&br;なぁ……終わらないよな……?|
|~眼鏡をかけた男性|テリーの伝説は、まだまだ続くよな!?|
|~テリー・ボガード|…………。|
|~眼鏡をかけた男性|テリー!!|
|~テリー・ボガード|…………|
|~テリー・ボガード|……なぁ。&br;その『伝説』っていうの、やめてくれないか。|
|~眼鏡をかけた男性|……え……?|
|~テリー・ボガード|だって、それだとさ……。|
|~テリー・ボガード|まるで俺が、&br;もう過去の存在になっちまったみたいじゃねぇか。|
|~眼鏡をかけた男性|……!|
|~テリー・ボガード|サンキューな。&br;……それと、心配かけて悪かった。|
|~テリー・ボガード|俺は生涯現役だ。伝説にはまだならない。|
|~テリー・ボガード|一生なってたまるもんか。&br;俺は――|
|~テリー・ボガード|…………。|
|~テリー・ボガード|見てろよ! 今にあの記事をかいた奴らに赤っ恥をかかせる&br;くらいの、スーパービクトリーを見せてやる!|
|~テリー・ボガード|次のKOFを楽しみにしてろよ! な!|
|~〇×|(テリーさん……!)|
|~眼鏡をかけた男性|っ……!&br;テリィ~~~!|
|~テリー・ボガード|うわっ! おいおい、そんなに泣くなって……!|
|~〇×|(……『伝説にはならない』、か。)|
|~〇×|(テリーさん、何か答えを見つけられたのかな。&br;それならよかった……。)|
#endregion

//----------
**17話 [#story_17]
#region(ネタバレ注意)
|>|コテージ到着後――|
|~草薙京|×、ちょっといいか?|
|~〇×|はい、なんでしょう?|
|~草薙京|悪いが、ここじゃちょっとな……。&br;外まで来てくれ。|
|~〇×|……?|
|~草薙京|オレの部屋にこんなものが置いてあったんだ。|
|~〇×|これは……?|
|~草薙京|KOFの招待状らしいぜ。|
|~〇×|えっ?&br;……確かに、言われてみれば似てますけど。|
|~〇×|(でも封筒は、いかにもその辺りのお土産屋さんで&br;売ってそうな、沖縄のゆるキャラデザイン……。)|
|~草薙京|『おまえに1対1の勝負を申し込む。これを読み次第&br;×と一緒に浜辺まで来い』――だとさ。|
|~〇×|私も?|
|~草薙京|ああ。そういうわけだから、&br;これから一緒に招待主のところへ行くぞ。|
|~〇×|い、行って大丈夫なんですか?&br;もしかして、何かの罠とかじゃ――|
|~草薙京|心配すんな。&br;差出人の検討はだいたいついてる。|
|~〇×|……?|
|~???|よっ! 来たな、ふたりとも!|
|~〇×|テリーさん!?|
|~草薙京|やっぱりお前か。&br;無駄に手の込んだ真似しやがって。|
|~テリー・ボガード|へへ。ハタシジョウっぽくていいだろ?|
|~草薙京|こんなゆるキャラデザインの封筒じゃなかったらな。|
|~テリー・ボガード|さっきのガソリンスタンドにはそれしかなかったんだよ。&br;……って。いいか、そんな話は。|
|~テリー・ボガード|さ。&br;やろうぜ、京!|
|~草薙京|いきなりだな……説明もなしかよ。|
|~草薙京|前にこっちから手合わせを頼んだときは、&br;乗ってくるどころか逃げるみたいにいなくなったクセに。|
|~テリー・ボガード|あはは……あのときは悪かったな。|
|~テリー・ボガード|……実をいうとさ、あのときは自信を無くしてたんだ。|
|~テリー・ボガード|そんな状態でおまえなんかと戦ったら、&br;もっとヘコみそうだなって思って……さ。|
|~草薙京|へぇ。お前でもそんなときがあるんだな。|
|~草薙京|だが、あのとき軽く自信喪失してたのは&br;オレも同じだぜ。|
|~テリー・ボガード|っ……?|
|~草薙京|というか、あのときはどいつもこいつもそうだったに&br;決まってるだろ。口にしないだけで。|
|~草薙京|ナギに完全に身動きを封じられて、危うく×を&br;連れていかれるところだったんだ。|
|~草薙京|オレもまだまだだと思った。&br;……だからお前と手合わせしたかったんだよ。無性にな。|
|~草薙京|この中でいいトレーニング相手になりそうなのは&br;テリー、お前ぐらいなもんだからな。|
|~テリー・ボガード|京……。|
|~草薙京|で?&br;今回はその埋め合わせってわけか?|
|~草薙京|この気合いの入った果たし状を見る限り&br;それだけとは思えねぇが。|
|~テリー・ボガード|…………。|
|~テリー・ボガード|ああ。|
|~テリー・ボガード|……草薙京。&br;これはリベンジだ。|
|~テリー・ボガード|最後の戦いの前に――&br;今、ここで、東京での借りを返す。|
|~〇×|(……!&br;テリーさんの雰囲気が、変わった……?)|
|~草薙京|……いい感じに闘志剥き出してんじゃねぇか。|
|~草薙京|こんなときにアホくせぇと思わなくもないが、&br;そうこられると否が応でも燃えてきやがる。|
|~〇×|っ!?&br;ふ、ふたりとも、本当に戦うんですか……!?|
|~草薙京|ああ。&br;×は下がってろよ。|
|~〇×|で、でも……!|
|~テリー・ボガード|×。|
|~テリー・ボガード|頼む。&br;一瞬も目を離さないでいてくれ。|
|~テリー・ボガード|あんたに見せたいんだ。&br;この戦いを……。|
|~テリー・ボガード|俺が導き出した答えってやつをな!|
|~〇×|……!!|
|~草薙京|こっちの準備はできてるぜ。&br;いつでもかかってこいよ、元チャンプ!|
|~テリー・ボガード|いいのかよ。先手必勝だぜ?|
|~草薙京|そういうのは勝ってから言ったほうがいいぞ。&br;後で恥かかないようにな。|
|~テリー・ボガード|かくかよ――ハァッ!|
|~テリー・ボガード|クラック・シュー!!|
|~草薙京|っ!!|
|~テリー・ボガード|ライジング・アッパー!!|
|~草薙京|効かないぜ!&br;――うおらっ!!|
|~テリー・ボガード|っ……。&br;なんだよ。お得意の炎は出さないのか?|
|~草薙京|出すかよ。&br;トレーニングでは使わねぇ。|
|~テリー・ボガード|チッチッチッ。言ったろ?&br;これはリベンジマッチなんだ。|
|~テリー・ボガード|KOFだと思って、本気で来いよ――&br;ハッ!!|
|~〇×|(テリーさん……。)|
|~'''テリー・ボガード'''|'''頼む。&br;一瞬も目を離さないでいてくれ。'''|
|~'''テリー・ボガード'''|'''あんたに見せたいんだ。&br;この戦いを……。'''|
|~〇×|(っ……。)|
|~〇×|(見届けなきゃ。&br;テリーさんの導き出した答え……!)|
|~〇×|京さん!&br;本気で……本気でお願いします!|
|~草薙京|はぁ? お前まで何言って――|
|~〇×|お願いします!!|
|~草薙京|――……。|
|~草薙京|……ハッ。&br;お前がそんなこと言うなんてな……。|
|~草薙京|いいぜ。&br;お望み通り、派手にかましてやるよ――|
|~草薙京|おらっ!!|
|~テリー・ボガード|っ――!&br;相変わらずあっちぃな……。|
|~テリー・ボガード|だが……ただ熱いだけだぜ!!|
|~テリー・ボガード|パワー・ゲイザー!!|
|~草薙京|っ……。&br;ハハ、すげぇな。|
|~草薙京|マジで出し惜しみなしかよ。&br;十八番の技ばっか使ってきやがって……。|
|~草薙京|だが、あんたの十八番はもう全部読めてるぜ。&br;有名すぎるのが祟ったな、元チャンプ――!|
|~テリー・ボガード|っ!?|
|~草薙京|食らいやがれぇ!!|
|~テリー・ボガード|ぐああああっ――!?|
|~〇×|(っ……!)|
|~テリー・ボガード|っ……。&br;はは……。|
|~テリー・ボガード|さすが……やるな……。&br;草薙流……っ。|
|~草薙京|オレの本気はまだまだこんなもんじゃないぜ。|
|~草薙京|そっちはもう終わりか? 冗談だろ?|
|~テリー・ボガード|――……。|
|~草薙京|!|
|~〇×|(……!&br;また、テリーさんの空気が……。)|
|~草薙京|…………。なんだよ。|
|~草薙京|そういう野性の顔は&br;KOFん時に見たかったもんだな!!|
|~草薙京|はぁぁ――――!!|
|~テリー・ボガード|――!!|
|~草薙京|なっ!?|
|~〇×|(!?&br;テリーさんが、一瞬で京さんの前に――!?)|
|~テリー・ボガード|京……おまえさっき、&br;俺の十八番は全部読み切ってるって言ったよな。|
|~テリー・ボガード|なら――これも読み切ってみろよ!!|
|~草薙京|――!?|
|~テリー・ボガード|アーユーオーケイ!?|
|~草薙京|ぐあああああああっ!?|
|~〇×|(!? すごい……!&br;テリーさんの突きだした拳から、爆炎!?)|
|~草薙京|くっ……。|
|~草薙京|なんだよ、今の技……!?&br;見たことねぇ……!!|
|~テリー・ボガード|っ、はぁ……はぁ……。&br;ハハハハ……。|
|~テリー・ボガード|思いつきで技出すもんじゃねぇなぁ……。&br;まだ制御が効かなくて、こっちまで大やけどだぜ。フー!|
|~〇×|……え?|
|~草薙京|お、思いつきだぁ!?|
|~テリー・ボガード|イエス! ザッツライト!&br;技の名前はまだ決まってないけどな。|
|~テリー・ボガード|なかなかエキサイティングな技だろ? 京!|
|~草薙京|――……。|
|~〇×|(今のって、まさか――&br;テリーさんの、新しい技ってこと!?)|
|~草薙京|…………。&br;ハハッ……。|
|~草薙京|ハハハハ……!!&br;面白れぇ……!!|
|~草薙京|まだ何かとっておきを隠してんのか?&br;だったら見せてみろよ。伝説の餓狼……!|
|~テリー・ボガード|『伝説』はやめろ。&br;俺はまだ過去の存在になりたくないんだ。|
|~テリー・ボガード|まだまだ腹ペコなんだよ……。&br;もっともっと、強くなりたいんだ!|
|~テリー・ボガード|だから……その炎をもっと食わせろよ。&br;草薙京――!!|
|~京&テリー|うおおおおおおおおおおおおおおお――――!!!!!!|
|~〇×|(すごい……!)|
|~〇×|(京さんの炎を受けても、テリーさんの勢いは弱まらない。&br;ううん、それどころか――)|
|~〇×|(どんどん、どんどん強くなってる気がする。&br;テリーさんの拳が。技のひとつひとつが……!)|
|~〇×|(……。&br;炎を食らう狼……。)|
|~テリー・ボガード|バーニング!!|
|~草薙京|っ……。|
|~草薙京|くそ。負けるかよ――!!|
|~〇×|(……。&br;本当に、すごい……。)|
|~〇×|(誰かと誰かが戦うのを見て、&br;こんな気持ちになるの初めて……。)|
|~〇×|(『ずっとこの戦いを見ていたい』、なんて――)|

#endregion

//----------
**18話 [#story_18]
#region(ネタバレ注意)
|~???|……さん……。|
|~???|……〇さん……!|
|~???|〇さん!!|
|~〇×|ひゃっ!?|
|~〇×|ア、アンディさん……?|
|~〇×|(私、すっかりふたりの戦いに夢中になってたみたい。&br;アンディさんの声、全然気が付かなかった……。)|
|~アンディ・ボガード|何してるんだ、こんなところで!&br;君も、兄さんたちも……!|
|~テリー・ボガード|ッ……。|
|~草薙京|はぁ、はぁ……。|
|~アンディ・ボガード|まったく。&br;明日は決戦だっていうのに、ふたりともなんて無茶を――|
|~〇×|……!&br;アンディさん、止めないであげてください!|
|~アンディ・ボガード|えっ……?|
|~〇×|その……! テリーさんは今、&br;京さんにリベンジマッチを挑んでるんです!|
|~〇×|テリーさん、この戦いで新しい技も使ってみせて……。&br;戦い方も、今までとは全然違うんです!|
|~〇×|だから、決着がつくまで見守ってあげてくれませんか!?|
|~アンディ・ボガード|兄さんが、リベンジマッチを……?|
|~???|うおおおおおお~~~~!!&br;試合ならオレもまぜろぉぉぉぉぉ~~~~!!|
|~アンディ・ボガード|うわっ!?|
|~〇×|ジョーさん!?|
|~ジョー・東|オラオラァ! チャンピオン奪還をかけて&br;このオレとも勝負しろぉ、草薙京!!|
|~草薙京|はぁ?&br;お前もかよ!?|
|~ジョー・東|おっとぉ! 2対1が卑怯とは言わせねぇぜ!|
|~ジョー・東|なんてったってオレらはチームだ!!&br;いつだって、テリーをひとりで戦わせたりはしないぜぇ!|
|~テリー・ボガード|ジョー……。|
|~???|ちょおっと待ったぁ!!|
|~〇×|……!?|
|~矢吹真吾|草薙京の一番弟子、矢吹真吾!!&br;師匠のピンチに駆けつけました!!|
|~〇×|し、真吾くん……!?|
|~草薙京|ハッ。別にピンチじゃねーよ。|
|~草薙京|だが、確かにおあつらえ向きにはなってきたな?&br;真吾。|
|~矢吹真吾|うっす!|
|~矢吹真吾|これがリベンジマッチだってんなら……。&br;おれだって、ジョーさんに負けたまんまは嫌なんです!|
|~矢吹真吾|このままチームのお荷物には……なりたくない!!|
|~ジョー・東|おお! そうこなくっちゃなあ!!|
|~ジョー・東|来いよ! 今度も返り討ちにしてやるぜぇ!|
|~矢吹真吾|絶対、絶対負けないっす……!&br;いざ!|
|~真吾&ジョー|でやああああ――――!!!!|
|~アンディ・ボガード|…………。|
|~アンディ・ボガード|…………。&br;リベンジマッチ……か。|
|~???|なんだかんだ言って、そっちも火がついちゃった?|
|~アンディ・ボガード|!|
|~〇×|紅丸さん……!|
|~二階堂紅丸|ねぇ×ちゃん。&br;俺の試合も見て行ってよ。|
|~二階堂紅丸|俺も、×ちゃんからの&br;熱~い視線を受けながら戦いたいな~。|
|~アンディ・ボガード|…………。&br;はぁ……。|
|~アンディ・ボガード|いったい、誰が君と戦うっていうんだい?|
|~二階堂紅丸|わかってるクセに。|
|~アンディ・ボガード|……ふっ。|
|~アンディ・ボガード|確かに、君には負け越しだったね。リベンジマッチなんて&br;まだ先のことだと思っていたけど……。|
|~アンディ・ボガード|兄さんとジョーが戦っているんじゃ、&br;僕だけ背を向けるわけにもいかないな!|
|~二階堂紅丸|いいねぇ。なら、華麗に決めさせてもらうぜ!|
|~アンディ・ボガード|参る!!|
|~紅丸&アンディ|はああああ――――ッ!!!!|
|~テリー・ボガード|……アンディ、ジョー……。|
|~草薙京|ははっ。&br;お互いに、しょうもねぇチームメイトを持ったもんだな。|
|~テリー・ボガード|……ああ。そうだな。|
|~草薙京|んで? オレたちはどうする?|
|~テリー・ボガード|決まってる! 試合続行だ!|
|~草薙京|フッ――わかった。&br;行くぜ!|
|~京&テリー|おおおおおおおッ――――!!|
|~〇×|(け、結局3対3の戦いに……!)|
|~〇×|(まるで、本物のKOFみたい……。)|
|~'''テリー・ボガード'''|'''そういう奴らをぶっ倒して、KOFを本来あるべき姿に……。&br;元の『お祭り』の姿に戻すのも、俺たちファイターの役目だ。'''|
|~'''テリー・ボガード'''|'''×にも心置きなく&br;お祭りを楽しんでもらえるように、俺たちも協力するよ。'''|
|~'''テリー・ボガード'''|'''ん-! やっぱここからの眺めは最高だな!'''|
|~'''テリー・ボガード'''|'''みんな楽しそうだ。&br;KOFは、こうじゃなくっちゃな。'''|
|~〇×|(KOFは、お祭り……。)|
|~〇×|(テリーさんがKOFのことをお祭りって言った意味……。&br;今ならわかる気がする。)|
|~〇×|(真吾くんが、あの日、自分だけ取れなかった勝ちを&br;取りに行こうとしてる。)|
|~〇×|(『チームのお荷物になりたくない』って、&br;握った拳で叫んでる。)|
|~〇×|(そんな真吾くんを見て、&br;アンディさんもあの日の悔しさを思い出したみたいだった。)|
|~〇×|(テリーさんとジョーさんの闘志に突き動かされて……。&br;今ではすっかり挑戦的な目をしてる。)|
|~〇×|(そして――)|
|~テリー・ボガード|うおおおおおおおーーーー!!|
|~〇×|(苦悩を乗り越えて新しい技に……。)|
|~〇×|(昔の自分じゃなくて、&br;今の自分の強さに目覚めたテリーさん。)|
|~〇×|(それを迎え撃つ京さんだって――)|
|~草薙京|っ――!&br;なめんなぁーーー!!|
|~〇×|(……あの日、テリーさんに勝つまでは&br;ずっとテリーさんに負けた悔しさを抱き続けてきたんだ。)|
|~〇×|(悔しさも、意地も、願いも、苦悩も……。)|
|~〇×|(そういうものが全部全部、激しくぶつかりあって&br;激しく燃え上がってる。)|
|~〇×|(それがこのお祭りの――&br;KOFの、真の姿なんだ……!)|
|~〇×|ッ……!|
|~〇×|みんな、頑張って! 負けないで――!|
|~草薙京|×!&br;それじゃどっちを応援してんのかわかんねぇだろうが!|
|~〇×|あっ……!|
|~テリー・ボガード|ハハハハ!!&br;確かにそうだ!!|
|~テリー・ボガード|でも、×の応援は&br;俺がひとりでいただくぜ!|
|~矢吹真吾|えーっ!&br;なんすかそれ、ズルいっす!|
|~二階堂紅丸|っていうか、×ちゃんは&br;ウチのマネージャー! そっちの応援なんてしないってば!|
|~ジョー・東|バーカ!&br;今はオレたち全員でチームだろうが!|
|~ジョー・東|×ちゃんはみんなのマネージャー!&br;そしてみんなのものは、このジョー様のものだぁ!!|
|~二階堂紅丸|なにそのガキ大将思考!!|
|~アンディ・ボガード|相手を間違っていないか、紅丸!!|
|~二階堂紅丸|あーもうわかってるよー!!&br;紅丸コライダー!!|
|~〇×|本当に、すごい……!|
|~〇×|(ああ……。&br;早くKOFの会場で試合が見たいな!)|
|~〇×|(チャンピオンの座をかけて全力を尽くす。&br;そんなお祭りを、早く見たい……!!)|
|~テリー・ボガード|ふー……。|
|~テリー・ボガード|あー。つっかれたぁ……。|
|~〇×|テリーさん。お水どうぞ。|
|~テリー・ボガード|お。ありがとな、×。|
|~テリー・ボガード|……って、いいのか?&br;×は京たちのマネージャーだろ。|
|~〇×|今はみなさんのマネージャーですから。|
|~テリー・ボガード|そっか。ハハハ……。|
|~テリー・ボガード|はぁ……しっかし、マキシマの邪魔が入らなければ&br;もうちょっとで京に勝てたんだがなぁ。|
|~〇×|あはは……さっきのマキシマさん、怖かったですよね。&br;『お前たちいったい何やってるんだ!?』って。|
|~テリー・ボガード|だな! まるで夜更かししてる子供を叱る&br;親父みたいだった。|
|~テリー・ボガード|でもまぁ、確かにもう遅い時間だったしな。&br;明日のために、少しは温存しておかないと……。|
|~テリー・ボガード|勝負は、決戦の後までおあずけだ。|
|~〇×|はい。&br;リベンジマッチの続き、私も楽しみにしてます!|
|~テリー・ボガード|ああ。今日以上のベストバウトになること間違いなしだ。&br;期待しててくれ!|
|~テリー・ボガード|――って、いったた……。|
|~〇×|!? テリーさん、大丈夫ですか!?|

#endregion

//----------
**19話 [#story_19]
#region(ネタバレ注意)
|~テリー・ボガード|アハハ……。大丈夫、大丈夫。&br;ちょっとだけ手が痛んだだけだ……。|
|~〇×|(あ……。&br;テリーさんの手、よく見たら火傷だらけ……!)|
|~〇×|私、何か冷やすもの持ってきます!|
|~テリー・ボガード|ああ、いいっていいって。&br;このペットボトルの水で十分だ。|
|~〇×|でも――|
|~テリー・ボガード|いいから。……ほら、×も隣座れよ。|
|~〇×|…………。|
|~〇×|あの……すみません。&br;私が京さんに『本気で』なんて言ったから……。|
|~テリー・ボガード|ん? ……ああ!|
|~テリー・ボガード|そのことなら、逆に感謝したいくらいだぜ。あんたが&br;ああ言ってくれたから、京も本気になってくれたんだ。|
|~テリー・ボガード|それに、この手の火傷はあいつのせいじゃない。&br;俺の技のせいだ。|
|~〇×|それって……あの新しい技の?|
|~テリー・ボガード|そう。まだ加減がわからなくて、出したパワーが&br;自分に跳ね返ってきちまう。|
|~テリー・ボガード|まだまだ調整と修行が必要そうだ。&br;へへっ……。|
|~テリー・ボガード|……おっと! そういえば技の名前も考えないとな。&br;うーん、どうしようかなぁ。|
|~〇×|ふふっ。テリーさん、嬉しそうですね。|
|~テリー・ボガード|ああ! これからこの新しい技を鍛えていけると思うと&br;ワクワクしっぱなしだ!|
|~テリー・ボガード|こんな感覚は久々だ。&br;今すぐにでも修行をして、もっと強くなりたい……!|
|~テリー・ボガード|…………。|
|~テリー・ボガード|……ありがとな、×。|
|~〇×|えっ……?|
|~テリー・ボガード|俺がこのことに気づけたのは、あんたの言葉のおかげだ。|
|~テリー・ボガード|昔の俺じゃなくて、&br;今の俺には今の俺の強さがあるんじゃないかって……。|
|~テリー・ボガード|俺、あんたのその言葉で目が覚めたんだ。まるでそれまでの&br;自分が、長い長い眠りについていたみたいに感じた……。|
|~テリー・ボガード|いつからこうなっちまったんだろうな?&br;俺はいつの間にか、餓えることを忘れちまってたらしい。|
|~テリー・ボガード|仇討ちを果たして。目標を失って。&br;最後には虚しさだけが残って。|
|~テリー・ボガード|それでも、KOFていうお祭りだけは守りたくて、&br;全大会出場して、裏で問題を片づけて。|
|~テリー・ボガード|チャンピオンの座を守り続けて。&br;『もう腹がいっぱいだ!』って勘違いして。|
|~テリー・ボガード|……そのままぐっすり寝ちまったらしい。俺の中にはまだ、&br;こんなにも力に餓える気持ちがあったっていうのに。|
|~〇×|テリーさん……。|
|~テリー・ボガード|……餓狼を目覚めさせてくれたのはあんただ。&br;×。|
|~テリー・ボガード|あんたは俺の勝利の女神だ。|
|~〇×|……。&br;私は、そんな大それた存在じゃないですよ……。|
|~〇×|最終的には、テリーさんが自分の力で答えを&br;掴みとったんです。私は何も……。|
|~テリー・ボガード|そんなこと言うなよ。&br;俺は本当にあんたに救われたんだぜ。|
|~テリー・ボガード|ありがとな。……本当に……。|
|~テリー・ボガード|……。|
|~〇×|……? テリーさん?|
|~テリー・ボガード|…………。なぁ、×。|
|~〇×|っ……! は、はいっ。|
|~〇×|(なんだろう。&br;テリーさんの表情、やけに真剣……。)|
|~〇×|(……それに、距離が……。&br;今までより、ずっと近いような……?)|
|~テリー・ボガード|×。俺は……。|
|~テリー・ボガード|……俺は……。|
|~テリー・ボガード|…………。|
|~テリー・ボガード|……悪い。やっぱりこの言葉は&br;いろいろと片付いた後に……。|
|~テリー・ボガード|世界を救った後に伝えることにする。|
|~〇×|……?|
|~テリー・ボガード|絶対に伝える! 約束だ。|
|~テリー・ボガード|この約束があれば、明日は絶対に上手くいく。&br;この世界を……あんたがいるこの世界を、救える。|
|~〇×|わっ……。|
|~テリー・ボガード|前みたいに指切りしようぜ!|
|~テリー・ボガード|♪ゆーびきーりげんまん嘘ついたらホーネットニードル&br;千発食ーらわす。指切っ――|
|~テリー・ボガード|――……。|
|~〇×|? テリーさん?|
|~テリー・ボガード|……そうだな。|
|~テリー・ボガード|これだと前とあんまり変わらないから、&br;今回は、指切る前にもうひと押し――|
|~〇×|――!!|
|~〇×|(私の小指に、テリーさんの唇が……。)|
|~テリー・ボガード|この方が、絶対って感じするだろ?|
|~〇×|えっ……、あっ……。|
|~テリー・ボガード|ハハハッ。&br;×、顔真っ赤。|
|~テリー・ボガード|そういうところ、見てて本当に和むぜ。&br;かわいい。|
|~〇×|っ……。|
|~〇×|(どうしよう……今まで、テリーさんを見ても&br;こんなことなかったのに……。)|
|~〇×|(今は……目もあわせられないくらい、&br;ドキドキする……。)|
|~テリー・ボガード|……。&br;絶対に世界を救おうな、×。|
|~テリー・ボガード|あんたにはファイターのみんなも、俺もついてる。&br;だから……心配するな。|
|~テリー・ボガード|俺たち全員の拳で、&br;ナギの野郎の目を覚まさせてやろうぜ!|
|~〇×|……テリーさん……。|
|~〇×|っ……。&br;はい!!|
#endregion

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**エピローグ [#story_20]
#region(ネタバレ注意)
|~|&br;|
|~||
|~||
|~||
|~|&br;|
|>|沖縄KOF開催から、3日――|
|>|京チームとテリーチームは、ここまで互いに危なげなく、&br;順当に勝ち上がってきた。|
|>|互いのチームが勝っても、以前のように祝勝会を開く&br;こともなく、言葉を交わすこともなく……。|
|>|まるで東京での大戦前の空気が、&br;ずっとずっと続いているかのようだった。|
|>|――そして、2チームはついにその瞬間を迎えた。|
|~アナウンサー|勝者! 草薙京ーーーー!!|
|~アナウンサー|京チーム、決勝へ向けてまたひとつコマを進めた!!&br;ということは――|
|~アナウンサー|次回の対戦は、&br;京チーム対テリーチームだあぁぁぁ!!!!|
|~〇×|(……! 来た……。)|
|~〇×|(ついに、京さんたちとテリーさんたちが&br;チャンピオンの座をかけて戦うんだ……!)|
|~アンディ・ボガード|兄さん。|
|~ジョー・東|ついに来たなぁ、京チーム!!|
|~テリー・ボガード|……ああ!|
|>|その夜――|
|~矢吹真吾|うおりゃあーーー!&br;真吾キィーーック!!|
|~二階堂紅丸|だからぁ。そんなワンパターンじゃ読み切られて当然だって。&br;ジョーは馬鹿なようで馬鹿じゃないんだからさ。|
|~矢吹真吾|え~っ。&br;わけわかんないっす~!|
|~二階堂紅丸|ま。とりあえず、同レベルまで落ちないように&br;頑張れってことだな! 行くぞ!|
|~矢吹真吾|っ……! はい!|
|~〇×|…………。|
|~草薙京|×。|
|~〇×|…………|
|~草薙京|おい、×!|
|~〇×|!! は、はいっ!&br;なんでしょう、京さん!|
|~〇×|あ、お水ですねっ。&br;ええと……。|
|~草薙京|……はぁ。|
|~草薙京|×。&br;お前、先にホテルに戻って休んでろ。|
|~〇×|えっ……で、でも。&br;みなさんまだトレーニング中なのに――|
|~草薙京|いいから。&br;どっちにしろ、オレたちは遅くなる。|
|~草薙京|なにせ明日はオレたちにとって大事な一戦だ。&br;ギリギリまで調整したい。|
|~〇×|わかりました……。|
|~〇×|(いよいよ明日か……テリーさんたちとの対戦。)|
|~'''テリー・ボガード'''|'''――今日以上のベストバウトになること間違いなしだ。&br;期待しててくれ!'''|
|~'''テリー・ボガード'''|'''この約束があれば、明日は絶対に上手くいく。&br;この世界を……あんたがいるこの世界を、救える。'''|
|~〇×|(そういえば……。&br;あの約束、まだ果たされてないな。)|
|~〇×|(最近、私は京さんたちのサポートで忙しくて……京さん&br;たちもテリーさんたちも、お互いに距離を置いてたから。)|
|~〇×|(…………。)|
|~'''テリー・ボガード'''|'''この方が、絶対って感じするだろ?'''|
|~草薙京|……×。|
|~〇×|……。|
|~草薙京|おーい。×。|
|~〇×|……はぁ……。|
|~草薙京|ったく。駄目だな、こりゃ。|
|~草薙京|誰のせいだろうな。&br;この上の空は……。|
|~'''テリー・ボガード'''|'''――×!'''|
|~〇×|(テリーさん……。)|
|~〇×|!! は、はいっ!!|
|~〇×|(あ、もう朝だ……!&br;もしかして私、寝坊した!?)|
|~〇×|(あれ? でもまだ6時……?&br;京さんたちと会場に向かうには、まだだいぶ早いよね?)|
|~〇×|あっ、はい! 今出ます……!|
|~〇×|おはようございます。&br;あの、まだ出発には早いみたいですけど――|
|~???|グッモーニン、×!|
|~〇×|――え?|
|~〇×|……!&br;テリーさん!?|
|~テリー・ボガード|よっ。&br;さらいに来たぜ、お姫様!|
|~〇×|わっ!?|
|~〇×|テ、テリーさん!?&br;何いきなり私を担いで……!?|
|~テリー・ボガード|言ったろ。さらいに来たってさ!|
|~テリー・ボガード|行くぜ、しっかり掴まってろよ!|
|~〇×|……え!?|
|~〇×|ええええー!?|
|~アナウンサー|みなさま……お待たせいたしましたぁ!!|
|~アナウンサー|ついに、ついに! あの2チームがチャンピオンの座を&br;かけて、因縁の対決を繰り広げます!!|
|~アナウンサー|まずは――燃え盛る炎、京チームの入場だぁぁ!!!!|
|~アナウンサー|さあ! そしてそれを迎え撃つは歴戦のチャンプ――|
|~アナウンサー|――否、一度は京チームによって辛酸を舐めさせられ&br;王座を揺るがされ……!|
|~アナウンサー|今再び栄光の美味を食らわんと、炎へ向け咆哮する&br;獰猛な狼!! テリーチーーーーム!!!!|
|~〇×|(……ええっと……。)|
|~〇×|(私が立つべき場所って、&br;本来はあっちのほう……だよね……。)|
|~〇×|(どうして私が&br;テリーチームのリングサイドに……!!)|
|~矢吹真吾|あーーーっ!! 草薙さん!&br;〇さんいたっす! あんなとこに!!|
|~草薙京|ああ……見えてる。|
|~二階堂紅丸|くっそう! おい、テリーチーム!! なんでそっちに&br;ウチの×ちゃんがいるんだよ!?|
|~矢吹真吾|そうだそうだ! 説明してくださいよ!!|
|~アンディ・ボガード|はぁ……。&br;で、どうするの? 兄さん|
|~テリー・ボガード|どうもしないさ。&br;×は返さない。|
|~〇×|テ、テリーさん……!|
|~ジョー・東|ハッハッハッハッ! テリーもやるよなぁ。&br;まさか無理矢理かっぱらってくるとはよ!|
|~アンディ・ボガード|〇さん……。&br;すみません、本当に……。|
|~テリー・ボガード|ヘイ! 京チーム!|
|~〇×|!!|
|~テリー・ボガード|こいつを返してほしかったら&br;俺たち全員を倒してみろ!|
|~テリー・ボガード|できなかったら……あんたらのマネージャーは&br;俺たちがもらう!|
|~京&紅丸&真吾|はぁ~~~~~~!?!?!?|
|~草薙京|……おい。やるぞ、お前ら……!!|
|~〇×|……テリーさん……。|
|~テリー・ボガード|…………。|
 
&attachref(アルバム /サイドスチル/SSスチル_テリー・ボガード.jpg,zoom,,259x200);
 
|~テリー・ボガード|な、×。|
|~テリー・ボガード|俺、あんたのこと大好きだ。|
|~〇×|……!!|
|~テリー・ボガード|ハハッ。やっと言えた。|
|~テリー・ボガード|闘志を磨くためにも、京たちと話さないようにしてたら……。&br;あんたともなかなか会えなくってな。|
|~テリー・ボガード|待たせて悪かった。|
|~〇×|……テリーさん……。|
|~テリー・ボガード|俺、あんたを他の男のそばに置いておきたくない。&br;できることなら、あんたを独占したい……。|
|~テリー・ボガード|だから、俺は勝ってくる。&br;勝ってあんたを手に入れる。|
|~〇×|っ……。|
|~テリー・ボガード|悪いが、嫌って言ってもやめないからな?|
|~テリー・ボガード|なにせ俺は、餓えた狼だ。&br;あんたが俺の中の狼を起こしちまったんだぜ?|
|~テリー・ボガード|もう一回、約束。&br;俺が勝ったら、あんたは今日から俺のマネージャー。|
|~テリー・ボガード|いや……俺のもんだ。|
|~アナウンサー|さあ、戦いはいよいよ大詰め!&br;大将戦だあーーー!!|
|~草薙京|……テリー。&br;×を返してもらうぞ。|
|~草薙京|そいつはオレのマネージャーだ。|
|~テリー・ボガード|いいや。俺のだ。&br;今日からは、な。|
|~草薙京|――……。&br;オレを本気にさせたこと、後悔するなよ。餓狼!|
|~テリー・ボガード|オーケー!&br;カモン、ファイアー・ボーイ!!|
|~〇×|(その日のテリーさんと京さんの試合は、KOF史上稀にみる&br;伝説のベストバウトとなった――)|
#endregion

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