〇× | お待たせしました。 こちら、ティーセットです。 |
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来店客E | ありがとう……さっきはごめんなさい。 |
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〇× | とんでもないです。 ごゆっくりどうぞ、お嬢様。 |
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そろそろキッチンに戻らないと―― | K' | おい、×。 |
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〇× | あ、K'さん。 さっきはありがとうございました。 |
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K' | 服に紅茶がかかってる。 |
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〇× | あ、本当だ。制服にしみが……。 でも、大丈夫です―― |
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K' | ……ついてこい。 |
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〇× | えっ? |
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K' | ……。 |
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二階堂紅丸 | 待った、K'。心配なのはわかるけど、 強引に引っ張っていくのはよくない。 |
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二階堂紅丸 | ここは執事喫茶なんだから、 あくまで執事らしく、だよ。 |
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K' | こんな時に―― |
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K' | …………。 |
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K' | ……チッ。 |
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K' | ――こちらへ、どうぞ……お嬢、様。 |
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K' | …………手を。 |
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〇× | あっ――は、はいっ! |
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K' | ……ご、ご案内、します……。 |
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〇× | お、お願いします……。 |
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K' | ……ったく、くだらねぇ茶番だ。 |
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〇× | (さっきの、紳士的なK'さん…… いつもと全然印象が違ったな。) |
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K' | おい。火傷してねぇか見せろ。 |
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〇× | あ……。 |
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〇× | (す、すごく近い……。) |
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K' | ……何ともなさそうだな。 他のところは大丈夫か? |
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〇× | (私のこと、心配してくれてるんだ。 さっきも火傷してないか、急いで確認してくれようとして――) |
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〇× | (K'さん、素っ気なく見えるけど、本当に優しいな……。) |
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K' | おい、聞いてんのか? |
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〇× | ……あ。 |
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〇× | (あ、目が合った。) |
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K' | …………。 |
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K' | ……何、見てんだよ。 |
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〇× | K'さんがこんなに近くにいる、って思って……。 |
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K' | ……×―― |
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マキシマ | ――もしもし、相棒。 そっちは上手くやってるか? |
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K' | っ!! |
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〇× | (微かに、マキシマさんの声が……。) |
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マキシマ | K'? どうした、何か問題か? |
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K' | ……なんでもねぇ。 相変わらずだ、おかしな点はねえよ。 |
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マキシマ | そうだろうなあ。 実はこっちの調査で、例の噂の真相がわかってな。 |
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マキシマ | その店のオーナーがやってる、命を扱う取引ってのは、 猫の譲渡のことだった。 |
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K' | ……は? |
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マキシマ | オーナーは無類の猫好きでな。店の売り上げを、 捨て猫や野良猫の保護や飼い主探しに当ててるらしい。 |
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マキシマ | 人身じゃなく、猫の身に関わる活動だったってわけだな。 |
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K' | はあ……くだらねぇ。 |
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マキシマ | そういうわけだ。お前さんには悪かったが、 もう潜入は切り上げていいぞ。 |
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〇× | (K'さんとマキシマさん、また何かのお仕事だったのかな。 この様子だともう解決したみたいだけど。) |
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K' | ったく、とんだ無駄足だったってわけだ。 |
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K' | 似合わねぇ格好で、 似合わねぇ真似までしたってのに……。 |
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① | すごく似合ってます |
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〇× | そんなことないです。K'さんの執事姿、 すごく似合ってますよ。 |
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〇× | それに、さっきエスコートしてくれたのも…… とても素敵でした。 |
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K' | …………さっきのアレは、忘れろ。 |
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② | ちょっと新鮮でした |
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〇× | いつものK'さんとは違いますけど、 今の格好も、ちょっと新鮮でいいと思います。 |
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〇× | さっきエスコートしてくれたのも……。 |
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K' | ……いつもあんな真似してたまるか。 |
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K' | とにかく、この店にもう用はねぇ。 これ以上、執事役なんてやる必要もない。 |
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〇× | あっ……じゃあ、もう行っちゃうんですね。 |
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〇× | 少しの間でも、K'さんと一緒にお仕事できて、 嬉しかったです。 |
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K' | …………。 |
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K' | ……必要なら、もう少し付き合ってやる。 |
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〇× | えっ! いいんですか? |
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K' | アンタの顔を見るのも久しぶりだし―― |
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K' | ……アンタとあのキザ執事を残しておくのも うぜぇんだよ。 |
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K' | その代わり―― |
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〇× | その代わり? |
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K' | ……ずっと甘い匂いに囲まれて、 鼻が馬鹿になりそうだ。 |
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K' | 甘くないスイーツっての、作れ。 さっき言ってただろ。 |
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〇× | ふふ……もちろん、任せてください! |
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〇× | (K'さんとのこんな穏やかな時間が、 もう少し続くといいな……。) |
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