京チーム対テリーチームの試合終了後―― |
〇×(主人公) | それじゃあ、みなさんが着替えている間、 私は部屋の外で待ってますね。 |
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二階堂紅丸 | ああ、レディを待たせるなんて悪いからね。 すぐに終わらせるよ。 |
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〇× | そんなに急がなくて大丈夫ですよ。 |
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草薙京 | あんまり扉の前から離れるなよ。 |
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〇× | わかりました。 |
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〇× | (ん?) |
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〇× | (あそこにいるのって、包くん? 一緒にいる人は、もしかして……。) |
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包 | む~~……。 |
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マキシマ | そんな顔しても無駄だ。すまんが、諦めてくれ。 |
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包 | ……ちぇ! やっと有力な【情報筋】に会えたと思ったのに。 |
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包 | マキシマさんのケチんぼ。 いいよ、自力でなんとかするから! |
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マキシマ | そのほうがいい。お前の【気】を読む力は、俺のセンサーに 引けを取らない精度なんだろ? |
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包 | 引けを取らないどころか、僕の力のほうがもっともっと すごいんだからね! |
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包 | もしこっちですんごい情報をゲットしても、 マキシマさんにはぜーーーったい教えてあーげないっ。 |
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マキシマ | 構わんさ。こちとら、座って腕組してても情報が入るように 日々努力してるんでね。 |
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〇× | (やっぱりそうだ。 あの大きい人、前にこの会場で会ったことがある。) |
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〇× | (マキシマさん、だったかな。ふたりは知り合いだったの?) |
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マキシマ | ……さて、俺はそろそろねぐらに帰るとしよう。 |
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マキシマ | ほれ。 詫びと言ったら何だが、これをやるから機嫌を直せ。 |
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包 | アメ? 相変わらず甘い物が好きなんだねぇ。 |
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包 | っていうか、何このドギツいレインボーカラー……。 添加物と着色料もりもり……。 |
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マキシマ | おいおい、なんだその態度は。 普通子供なら喜ぶところだろう? |
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包 | 確かに普通のちびっ子が喜びそーな見た目してるけど、 僕は無添加派なの。 |
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包 | ホットミルクにお砂糖だって入れないのに。 |
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マキシマ | かわいくないな……いいからあと2.3個もってけ。 見た目のわりに意外とフルーティで美味いぞ。 |
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包 | ええー、いらないよー! |
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〇× | !! |
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〇× | (嘘……。 あのマキシマって人、どうして……。) |
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〇× | (どうしてあの【ポーラ・ポーラ・キャンディ】を あんなに大量に持ってるの!?) |
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〇× | (働く女子に大人気! パシャスタグラム映えで知名度が 急上昇して、製造が追いつかず入手困難の幻の逸品……!) |
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〇× | (私も欲しくて一度お店に行ったけど売り切れで……。 もう二度と巡り合えないかもって諦めてたのに!) |
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〇× | (……包くん、いいなぁ……。) |
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包 | …………。 |
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マキシマ | …………。 |
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包 | ……マキシマさん。これ、あげてもいい? |
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マキシマ | 奇遇だな。俺も同じことを考えていたところだ。 |
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マキシマ | というわけで、だ。 コソコソしてないで、もう出てきてもいいぞ、お嬢さん。 |
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包 | そこにいるんでしょ? ×お姉ちゃん♪ |
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〇× | !? |
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包 | ほらいた! |
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〇× | ぱ、包くん……どうしてわかったの? |
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包 | 前にも言ったでしょ? 僕、これでも格闘家なんだから。 |
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包 | ×お姉ちゃんの【気】、ずーっと感じてたよ? ちょうど僕がむくれてた時に、控室から出てきたよね。 |
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〇× | (……合ってる。) |
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マキシマ | 俺も気づいてたぞ。 |
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マキシマ | よ。こないだはろくに挨拶もせず悪かった。 |
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マキシマ | ……って、俺のことは覚えてるよな? |
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〇× | はい、もちろん! マキシマさんでしたよね。 |
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〇× | あ……というか、なんだか盗み聞きしてたみたいで ごめんなさい。 |
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マキシマ | 気にするな。幸い、聞かれて困るようなことは お前さんの耳には入っていなかったようだからな。 |
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マキシマ | それより……ほれ。これが欲しかったんだろ? 持って行け。 |
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〇× | わ! |
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〇× | (【ポーラ・ポーラ・キャンディ】、 30個パック1袋ごと……!?) |
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〇× | い、いいんですか!? |
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マキシマ | ハハハハハハ! あれだけ物欲しそうにこちらを見ておいて それはないだろう! |
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〇× | (そ、そんなことまでバレてたんだ……おかしいな。 廊下の角の陰にちゃんと隠れてたはずなのに。) |
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〇× | (包くんといいマキシマさんといい、格闘家の人達って 油断ならない……。) |
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マキシマ | ――それじゃ、俺は今度こそ行くぞ。〇×。 お前さんとは、もう少しゆっくり話をしたかったが……。 |
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マキシマ | あまり長居をすると、包以外の連中にも捕まって 尋問されてしまいそうなんでね。 |
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〇× | じ、尋問? |
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包 | まーーーったく成果の得られない尋問だったけどね。 |
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マキシマ | まだ拗ねてるのか。いい加減、機嫌を直せっ。 |
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包 | わああ、痛い、痛い! それ、もしかして撫でてるつもりー!? |
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マキシマ | おお、悪い悪い。 相手が格闘家だから、手加減を忘れちまった。 |
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包 | 絶対ワザとだー! |
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マキシマ | お嬢さんも、またな。 |
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〇× | あ、はいっ。あの……。 |
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〇× | キャンディ、ありがとうございました! 大事に食べます! |
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マキシマ | …………。 |
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〇× | わっ。 |
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〇× | (……私まで撫でられた……?) |
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包 | …………。 |
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包 | ねぇ、今マキシマさんに頭撫でられた時……。 |
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〇× | ? |
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包 | …………。ううん、やっぱりなんでもない! |
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包 | ×お姉ちゃん、キャンディ、僕の分もあげるねっ。 |
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〇× | え、いいの? マキシマさんがせっかくくれたのに。 |
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包 | うん。お姉ちゃんが喜んでくれるなら、 そっちの方が僕は嬉しいから! |
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〇× | ふふ、ありがとう包くん。 じゃあもらっておくね。 |
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包 | うん! じゃ、僕もそろそろ行くね。またねー! |
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〇× | (マキシマさんと包くん、何の話をしてたんだろう? ……それに……。) |
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〇× | (こんなレアなお菓子を大量に買い込んでる マキシマさんって、いったい何者なの……??) |
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