〇×(主人公) | わあ……大きな公園ですね。 こんなところがあったなんて。 |
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ジョー・東 | へへっ、いいところだろ? ランニングするときによく来るんだ。 |
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〇× | この辺りはジョーさんのランニングコースなんですか? |
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ジョー・東 | ああ! 道場からちょうどいい距離だし、 いいところだろ? |
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〇× | はい。緑もたくさんあって、気持ちがいいですね。 |
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ジョー・東 | この公園、うんていとかもあるからよ! 体力づくりにはもってこいだぜ。 |
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ジョー・東 | ほれ、見てみな! こうしてうんていを渡るだけでも 腕の筋肉が鍛えられるんだぜ! |
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〇× | (す、すごいスピード! あっという間に端まで渡り切っちゃった!) |
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ジョー・東 | ほら、×ちゃんもやってみな! どっちが早く渡れるか勝負だぜ! |
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〇× | ええっ!? わ、私もですか? |
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ジョー・東 | ああ! せっかくここまで来たんだ 一緒にやろうぜ! |
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〇× | (うんていなんてやるの何年ぶりだろう……。 ちゃんとできるかなあ。) |
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〇× | (でも、今日はとことんジョーさんに付き合うって 決めたんだから、挑戦してみよう!) |
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〇× | じゃ、じゃあ、やってみますね! |
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ジョー・東 | おお! |
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〇× | (わあ、この鉄の感触久しぶり……。) |
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〇× | (よし、一本目は渡れた……次は二本目……。 うん、良い調子……だけど……。) |
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〇× | (腕以外にも、結構体の筋肉使うんだなあ。 小さい頃は、全然意識してなかった。) |
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〇× | はあ、はあ……。 |
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ジョー・東 | 頑張れ、×ちゃん! あと少しだぞ! |
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〇× | は、はい……。 あと、もおうちょっと……あっ! |
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〇× | す、すみません、落ちちゃいました……。 |
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〇× | 昔は最後まで渡れてたんですけど やっぱり、体力落ちちゃってるみたいですね。 |
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ジョー・東 | んー……そうか。 じゃあ、鉄棒にするか! 逆上がり競争だ! |
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〇× | さ、逆上がり!? もっと無理ですっ! |
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〇× | 私小さい頃も逆上がりが苦手で なかなか上手にできなかったんですよ。 |
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〇× | だから……。 |
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ジョー・東 | それなら、オレが教えてやるよ! |
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〇× | ええっ!? で、でも……。 |
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ジョー・東 | 大丈夫、大丈夫! ちゃんとサポートするからよ! |
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〇× | で、でもそれじゃあ、ジョーさんの 稽古ができないんじゃないですか? |
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ジョー・東 | ははは! ×ちゃん、そんなこと気にしていたのか? オレのことなら気にしなくていいぜ! |
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ジョー・東 | 人に教えることで自分の修行にもなるんだ! むしろ教えさせてもらいたいってな! |
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〇× | そ、そうなんですね。 |
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ジョー・東 | ああ! ×ちゃんが逆上がりできるようになるまで みっちりコーチしてやるからよ! |
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ジョー・東 | だから、一緒に頑張ろうぜ! |
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〇× | え、ええっと……。 |
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〇× | (ここまでジョーさんが言ってくれてるんだから 断るのは申し訳ないなあ。) |
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〇× | (できるかどうか不安だけど……。 ジョーさんが一緒だし、頑張ってみようかな。) |
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〇× | じゃ、じゃあ、お願いします! |
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ジョー・東 | ああ、任せてくれ! オレが、必ず逆上がりができるようにしてやるからよ! |
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ジョー・東 | ほら、最初はオレが補助をしてやるよ。 ×ちゃんは普通に回ってみろ。 |
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〇× | (わっ! ジョーさんの手が腰に……。 なんだか、恥ずかしいな。) |
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ジョー・東 | どうした? オレはいつでも準備OKだぜ? |
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〇× | は、はいっ。じゃあ、行きますね。 ――えいっ!! |
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〇× | (うう、足がうまく上がらない……。) |
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ジョー・東 | そら! もっと足を強く踏み込んで! |
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〇× | (逆上がりの練習なんて子供の頃以来で、 手も足も全然使い方が分からないな。) |
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〇× | (それに、ジョーさんとの距離が近くて なんだかドキドキしちゃうし……。) |
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ジョー・東 | ×ちゃん、もう一度回ってみな! 今度は絶対うまくいくぜ! |
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〇× | は、はいっ! |
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ジョー・東 | いい調子だぞ! これなら、すぐにできるようになるぜ! |
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〇× | (だけど、ジョーさんがこんなに真剣に サポートしてくれてるんだもの。私も頑張らなくっちゃ!) |
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こうして、何度も失敗を繰り返しながらも 逆上がりの特訓は続いた。 |
〇× | はあ……はあ……。 |
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ジョー・東 | よし! だんだん良くなってきてるぜ! |
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ジョー・東 | もう少しタイミングを早くして駆け込んでみな。 そら、もう一回! |
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ジョー・東 | それ! ここで体を引く! |
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〇× | (あっ――!) |
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〇× | で、できました! |
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ジョー・東 | だろ? ×ちゃんなら絶対できると思ってたぜ。 |
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〇× | ありがとうございます、ジョーさん! |
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ジョー・東 | ははは! 頑張った甲斐があったな! |
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〇× | わっ……! ジョーさん、あ、頭……! |
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ジョー・東 | ん? 駄目だったか? 頭撫でるの。 |
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〇× | い、いえ、駄目というわけでは……。 |
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〇× | (嬉しいけど、これはちょっと恥ずかしいかも……。) |
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ジョー・東 | おめでとう、×ちゃん! ×ちゃんならできるって、信じてたぜ! |
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〇× | ふふ。ジョーさんの教え方が上手だったおかげです。 |
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ジョー・東 | へへ! そうか? じゃあ今度は連続して回れるようにやってみるか! |
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〇× | え、えっと……お手柔らかにお願いします。 |
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