リンファの父 | ――リンファ! |
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リンファ | パパっ!! |
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リンファの父 | どうして家の外に出たんだ。隣のおばさんの家で一緒に 待ってるように言っただろう。 |
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リンファ | っ……。だって……。 |
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テリー・ボガード | リンファを怒らないでやってくれ。 あんたのことが心配で、いても立っても居られなかったんだ。 |
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テリー・ボガード | 生きていく以上、仕事は大事だ。だから、あんたの仕事を どういう言うつもりはない。 |
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テリー・ボガード | けど、家族も大切にしてやってくれ。母親だけじゃなく、 あんたまでいなくなったらこの子は悲しむ。わかるだろう? |
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リンファの父 | ……はい。 |
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リンファの父 | ひとりにして悪かったよ。さあ、一緒に帰ろう。 |
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リンファ | うんっ! |
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リンファの父 | テリーさん、本当にありがとうございました。 |
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テリー・ボガード | 礼はいらないさ。 その代わり、その子のことを大事にしてやってくれ。 |
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リンファの父 | もちろんです。ほら、おまえもふたりに礼を言いなさい。 |
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リンファ | お姉ちゃんの言うとおりだったね! ありがとう、サウスタウンヒーロー! |
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テリー・ボガード | 父子(おやこ)が手を繋いで帰ってる……。いい光景だな。 |
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〇× | 本当ですね……。 |
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〇× | あ、それであの子のお父さんはどこに? |
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テリー・ボガード | チャイナタウンの路地裏だ。 仲間のマフィアがアンドロイドに襲われたらしくてな。 |
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テリー・ボガード | あの子の父親はそのアンドロイドを追いかけて、精神力を 奪われそうになってたんだ。 |
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テリー・ボガード | ……今回は間一髪のところで助けられた。けど、アンドロイドの 被害にあってるのはひとりやふたりじゃない。 |
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テリー・ボガード | たとえ裏社会の人間だって、家族がいる。 そういう人たちのためにも、アンドロイドを止めないとな。 |
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〇× | そうですね。 |
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テリー・ボガード | ところで。 俺がいない間、あの子に俺のこと、なんて話したんだ? |
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〇× | えっ……!? ど、どうしてそんなことを……? |
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テリー・ボガード | あの子が『お姉ちゃんの言うとおり』って言ってたの、 ちゃんと聞いたぜ? |
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〇× | え、ええっと……。 |
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〇× | ……テリーさんの存在が私の心の支えになってるっていう 話をしたんです。 |
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〇× | いつでも私に希望をくれて、だから私はつらいことや苦しいことが あっても、前を向いて歩いていけるんだって。 |
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テリー・ボガード | ……っ! |
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テリー・ボガード | ほんっとうにキュートだなぁ、×は!! |
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〇× | きゃっ……! |
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テリー・ボガード | まったく。なんだって、あんたはそんなに可愛いんだろうな! 本当に和むぜ! |
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〇× | く、苦しいです、テリーさん……! |
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〇× | (……!) |
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テリー・ボガード | 俺から、感謝のキスだよ。 |
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テリー・ボガード | ……あんたがあの子のそばにいてくれてよかった。 本当にありがとな。 |
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〇× | そ、そんな……。私は大したことはしていませんし……。 |
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テリー・ボガード | 謙遜なんてしなくていい。あんたも間違いなく、 あの子にとってのヒーローさ。 |
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テリー・ボガード | ……いつもそばにいてくれた大人がいないっていうのは、 それだけで不安になるもんだからな。 |
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テリー・ボガード | そんな時に大人がそばにいてくれる。それは、あんたが 思っている以上に大きな意味があるんだよ。 |
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テリー・ボガード | あの日、あの時も……×がそばにいてくれたら よかったのにな。 |
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〇× | あ……。 |
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〇× | (……テリーさんはお父さんを失った時、この家にいたのかな。) |
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〇× | (アンディさんとふたりで。子どもたちだけで、ここに……?) |
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〇× | 私も、その時にテリーさんのそばにいてあげたかった……。 |
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テリー・ボガード | ×……。 |
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〇× | リンファちゃんだけじゃなくて、 テリーさんのヒーローにもなりたかったです。 |
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テリー・ボガード | ハハッ。何言ってるんだ。 |
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テリー・ボガード | あんたはとっくに俺のヒーローになってるよ。 |
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〇× | え……? 私が? |
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テリー・ボガード | ああ。俺の中の狼を起こしてくれたのは、誰だっけ? |
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〇× | あ……。 |
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テリー・ボガード | そうだ。他の誰でもない、あんただ。 |
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テリー・ボガード | ×は俺の女神で、俺のヒーロー。 そして何より大切な……俺の愛しい恋人だ。 |
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