ナギさんの主催で、改めて開催されたKOF。 それが無事終結したあと、私は飛行機に乗っていた―― |
〇×(主人公) | (ロバートさんにイタリアへ誘われて、ついてきたけど、やっぱりすごく緊張する。) |
〇× | (初めて行くイタリアだし、しかもロバートさんのお父さんに会うだなんて。) |
ロバート・ ガルシア | ×ちゃん、元気ないけど大丈夫か? もしかして、飛行機に酔ってもうた? |
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〇× | え? いえ、違うんです。 ちょっと、緊張してきて……。 |
ロバート・ガルシア | あ、もしかして、親父に会うんが怖いんか? 大丈夫。洗脳されてた時みたいな怖い顔なんてしてへんから。 |
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〇× | 怖いとかそんなんじゃないんです。やっぱり財団のトップの人と会うと思うと、ドキドキして。 |
ロバート・ガルシア | そんな緊張することないやん。親父はナギの洗脳から解放してくれたお礼がしたいって言うとんのやから。 |
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〇× | だ、だってそのお礼として、パーティーを開いてくれるだなんて。 |
〇× | (ガルシア財団総帥主催のパーティー。やっぱり、想像しただけで緊張しちゃう。) |
〇× | 私、社交界のマナーって言うんですか?そういうの、全然わかってないんです。 |
ロバート・ガルシア | ははは、そっか。でもそのへんのことは、ワイがちゃーんとサポートするから、大丈夫やで。 |
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ロバート・ガルシア | それにな、緊張すんのはワイも同じなんや。親父と一緒のパーティーに出んのは、久々やからな。 |
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ロバート・ガルシア | お礼受けに来た×ちゃんに頼むのもなんやけど、ワイが逃げ出さんように、そばにおってくれたら嬉しいで。 |
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〇× | ……わかりました。 緊張しますけど、ちゃんとロバートさんの隣にいますね。 |
〇× | で、でも、本当にマナーとかのことは、ロバートさんが助けてくださいね! |
ロバート・ガルシア | わかったわかった、ワイに任しとき。 |
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〇× | (やっと着いた。日本からこんなにかかるなんて。イタリアって、本当に遠い場所なんだなぁ。) |
黒服の男 | ロバート様、×様、お待ちしておりました。こちらの車にお乗りください。 |
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ロバート・ガルシア | なんや、着いた早々迎えが来とる。×ちゃんに、ろくに観光もさせられへんのかいな。 |
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〇× | (わあ、テレビでしか見たことないような車が、飛行機のそばに停まってる。) |
ロバート・ガルシア | ×ちゃん、飛行機に続いてまた座ることになるけど、ここは大人しく乗っとこか。 |
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〇× | はい。ロバートさんのお父さんも待ってるかもしれませんし、そうしましょう。 |
私たちが邸宅に着くと、ロバートさんのお父さんは大歓迎で迎えてくれた。しかし―― |
◯× | (想像以上の大邸宅に、ロバートさんに貰ったドレス。周りも、着てる服も豪華で、落ち着かないなあ……。) |
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◯× | (ロバートさんも緊張してるって言ってたし、しっかりしてないといけないのに。) |
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◯× | (……それにしても、ドレスを着てこの部屋で待ってるように言われたけど、いつまで待ってればいいんだろう?) |
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メイドA | ――やっぱり、今回の騒動でのガルシア家は、判断を間違えたとしか言えないわ。 |
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◯× | (あれ?扉の向こうから声か聞こえる。ガルシア家のことを、話しているみたい。) |
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メイドB | 本当よね。ご主人様も、どうして中止するようなイベントに、大金を出したんだか。 |
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メイドA | そうそう。おかげでガルシア家を追い落とそうって連中が、ガルシア家は社会的信用を失ったって騒いでるらしいよ。 |
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メイドB | はあ……。ガルシア家はどうなっていくんだか。 |
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◯× | (ロバートさんのお家、KOFのことで、まだ悪く言われてるんだ。) |
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◯× | (ロバートさん、ガルシア財団の後継者として、こんな中でどうしていくんだろう。) |
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ロバート・ガルシア | ×ちゃん、ワイや。部屋に入ってもええかな? |
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◯× | あ、はい。大丈夫です。入ってきてください。 |
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◯× | (ガルシア家のこと、私は何もできない。今は、笑顔でロバートさんのそばにいよう。) |
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ロバート・ガルシア | おお!やっぱりそのドレス、×ちゃんに似合うなあ。ワイの見立ては、大正解やったな。 |
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◯× | すみません、ロバートさん。こんな素敵なドレスを頂いてしまって。 |
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ロバート・ガルシア | ええんやって。ワイが×ちゃんにドレスを贈りたかったんやから。 |
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◯× | そう言ってもらえて光栄です。ドレス、大切にします。ありがとうございま―― |
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ロバート・ガルシア | ちょい待ち!まだ×ちゃんにプレゼントがあるんや。 |
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ロバート・ガルシア | ドレスだけじゃ、コーディネートは完成せえへんで。ほら、これも受け取ってえな。 |
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◯× | わあ、綺麗な白のハイヒール。これを、私に? |
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ロバート・ガルシア | そや、サイズは、前に×ちゃんの靴を買った時に覚えたから、ばっちりやと思うで。 |
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◯× | ありがとうございます……すごく嬉しいです! |
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ロバート・ガルシア | 喜んでもらえて、ワイも嬉しいで。さ、座って。今回もワイが履かせたるわ。 |
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◯× | (このドレスじゃ、靴を履くのは大変そうだし、ちょっと恥ずかしいけどロバートさんにお願いしようかな。) |
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◯× | ……じゃあ、お願いしますロバートさん。 |
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ロバート・ガルシア | うんうん。ちょい待ってな。 |
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◯× | (ロバートさんが靴を履かせてくれると、初めて靴を贈ってくれた日のことを思い出す――) |
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ロバート・ガルシア | これでええ。どうや、サイズぴったりなんちゃう? |
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◯× | はい。とても足に合ってるみたいです。靴もドレスも……本当に素敵なものをありがとうございます。 |
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ロバート・ガルシア | 当然やって。今日は×ちゃんをたくさんの人に見てもらうんやから。めっちゃええもん着てもらわんとな。 |
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◯× | (うう……そうだった。これからパーティなんだもんね。考えたら、また緊張してきちゃった。) |
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いよいよパーティーが始まり、来賓のみなさんが見守る中、私はロバートさんと一緒に壇上へ上がった―― |
◯× | (こんなにたくさんの人の前に立ってる上に、ガルシア家を救った人物だって、紹介されちゃった。) |
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◯× | (そのせいか、会場中の視線を感じる。もう、立ってるだけで冷や汗が出てくるよ……。) |
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司会の男 | それでは続きまして、ロバート・ガルシア様よりご挨拶を頂きます。 |
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◯× | (あ、ロバートさんが話す番みたい。) |
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ロバート・ガルシア | ×ちゃん。悪いんやけど、隣立っててくれるかな? |
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◯× | はい。ちゃんと隣で、ロバートさんのこと見てますからね。 |
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ロバート・ガルシア | そりゃ百人力やな。ほな、いっちょやったるか。 |
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ロバート・ガルシア | ……みなさん、本日はお集まりいただき、ありがとうございます。 |
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ロバート・ガルシア | 本日は、ガルシア家の恩人である、◯さんをご紹介したいという趣旨でお集まりいただきました。 |
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ロバート・ガルシア | しかし、みなさんが本当に聞きたいと思っていることは、『ガルシア家の行く末』である。それは理解しております。 |
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ロバート・ガルシア | ですので、この場をお借りして、私の想いをお話させてください。 |
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ロバート・ガルシア | 今、ガルシア家の行く末を不安に思っている方は、内外含め少なからずいることと思います。 |
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ロバート・ガルシア | その中には、ガルシア家への社会的信頼を、疑問視する声もあります。 |
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ロバート・ガルシア | 私は、父と共に、我々が自ら招いたこの困難に、立ち向かっていく覚悟があります。 |
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ロバート・ガルシア | 今一度、我々は社会に対し、責任を果たさなくてはならない。 |
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ロバート・ガルシア | ここにお集まりのみなさん。是非、私と父にお力をお貸しいただけないでしょうか! |
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◯× | (私の肩を抱く、ロバートさんの手が少しだけ震えてる。) |
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◯× | (ロバートさん、ガルシア家の跡継ぎとして、必死に運命に立ち向かってるんだ。) |
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ロバート・ガルシア | は〜〜〜〜!緊張したわ……。ほんま、あんなん心臓に悪くてかなわん。 |
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◯× | ふふ、私も……実はすごい汗をかいてました。 |
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ロバート・ガルシア | 今日のところはこれで一息ってところやけど、また明日から頑張っていかなならんな。 |
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◯× | そうですね。今日パーティーに来てたみなさんも、ロバートさんに、期待していたみたいですし。 |
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ロバート・ガルシア | そやなあ。ガルシア財団の跡取りとして、期待裏切るような真似、できへんもんな。 |
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◯× | ロバートさん、私にも何が手伝えることはあるでしょうか? |
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ロバート・ガルシア | え?なんや×ちゃん、さっき隣におってくれるだけでよかったのに、これ以上なんか望んでええんか? |
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◯× | もちろんです。私に出来ることだったら、お手伝いさせてください。 |
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ロバート・ガルシア | それじゃあ、頼みがある。×ちゃんにしか、できへんことなんや。 |
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◯× | 私にしか出来ないこと?……って、ろ、ロバートさん!? |
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ロバート・ガルシア | ×ちゃん、真剣にワイとの将来、考えてくれへんか? |
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◯× | しょ、将来って。つまり、その…… |
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ロバート・ガルシア | プロポーズや。一世一代のな。 |
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ロバート・ガルシア | 今すぐにってわけやないけど、この先ずっと一緒にいるって、約束だけでもさせてくれへんか? |
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ロバート・ガルシア | あんたに出会って、初めはほんま可愛い子やなって思ってただけやったけど……。 |
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ロバート・ガルシア | 自分の運命と向き合うその強さに、眩しさに目を覚まされてどんどん惹かれていったんや。 |
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◯× | ロバートさん……。 |
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ロバート・ガルシア | ワイはな、この先×ちゃんがいない人生なんて到底考えられへんって思うようになったんやで。 |
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ロバート・ガルシア | 返事は急がんけど―― |
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◯× | ……ふふ、ロバートさん。私、そのことなら、前にお答えしています。 |
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◯× | 『私でよかったら。』……喜んで。 |
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