圧倒的に不評 のバックアップ(No.5)


Steamにおける「圧倒的に不評(Overwhelmingly Negative)」は、ユーザーレビューの評価ランクの一種。
非常に多くのレビューが「不評(ネガティブ)」だった場合に表示される。

 
 

Steamレビュー

Steamレビューは、「Steam」で提供されているユーザーによるゲーム評価・感想の投稿機能。
購入者のみしか投稿できない*1ので、いわゆる「エアプ」のユーザーの評価のない、実プレイに基づいた評価となっている。

 

基本構成

Steamレビューには以下のような要素が含まれている。

項目説明
評価(👍/👎)投稿者がそのゲームを「他人に勧めるかどうか」を二択で選択する。
レビュー本文自由記述で、プレイ時間、ゲーム内容、長所・短所などを書くことができる。
プレイ時間投稿時点でのプレイ時間および現時点の総プレイ時間、過去2週間のプレイ時間が表示される。
参考になったかどうか他のユーザーがそのレビューに対して「参考になった」「面白い」と評価できる。
無料で入手フレンドからのプレゼントやメーカーが発行したシリアルコードなど、ゲームを無料で入手した場合はその旨が明記される。
返品済みSteamでは原則プレイ時間が2時間未満であればゲームを返品できる。レビューしたユーザーが返品した場合はその旨が明記される。
 

レビュー評価

レビュー評価は「圧倒的に好評」から「圧倒的に不評」までの9段階で、好評の割合とレビュー数を元に分類される。
好評率に加えて、「非常に○○」「圧倒的に○○」は、レビュー数も条件を満たす必要がある。

「総合レビュー」と「最近のレビュー」で基準が多少異なる。
内訳は以下の通り。

 

総合レビュー

評価好評率レビュー数
圧倒的に好評95%以上500件以上
非常に好評80%以上50件以上
好評10件以上
やや好評70~79%10件以上
賛否両論40~69%10件以上
やや不評20~39%10件以上
不評19%以下10件以上
非常に不評50件以上
圧倒的に不評500件以上
 

最近のレビュー

評価好評率レビュー数
圧倒的に好評95%以上100件以上
非常に好評80%以上10件以上
やや好評70~79%10件以上
賛否両論40~69%10件以上
やや不評20~39%10件以上
非常に不評19%以下10件以上
圧倒的に不評100件以上
 

ワイルズでは

2025年2月28日に発売された『モンスターハンターワイルズ』は、発売直後から多数の不具合が報告され、Steamにおけるユーザー評価は「賛否両論」となっていた。
その後のアップデートによる改善が期待されたものの、実際にはクラッシュの増加や、意図的とも受け取られるバランス調整(いわゆる「ナーフ」)により、ユーザーの不満は急激に高まった。
 
5月末の「豪鬼アップデート」をきっかけに、Steamでの評価はさらに悪化。
6月20日時点では、直近30日間のレビューにおける好評率が19%にまで落ち込み、「圧倒的に不評」の評価を記録した。
全世界で累計1,000万本以上を売り上げたAAAタイトルとしては極めて異例の状況であり、この事態は株主総会でも取り上げられることとなった。
奇しくも6月20日は株主総会当日だった。

 

Steamにおける好評率の分布について(平均は80%)

一般的に、Steamのレビューは好意的。
 
以下は、Steamで扱われているゲームを好評率ごとにどのように分布するかを並べたデータ(8825件・2020年時点・150件以上のレビューがあるゲームに限る)
※PDFとは確率密度関数(probability density function)のこと。
 
ここで、横軸は好評率、縦軸はゲームの数(割合)。
pdf.png
 
チャートから、多くのゲームが好評率80%を得ている事実が読み取れる。
(ゲームのおおよそ半分がチャート上の赤線(80%)の右側にある。)

 

驚天動地の規格外ゲーム・モンスターハンターワイルズ

ワイルズの好評率は50%程度であるため、平均的なゲームと比較してかなり問題の大きなゲームに分類される。
 
「最近の評価」に限って言えば好評率は十数%であり(2025/7時点)、本チャート横軸の10のあたりを見ると判るように、近辺にプロットされているゲームはほとんど存在しない。
つまりモンスターハンターワイルズは飛び抜けた外れ値であり、いわばゲーム界の"希少種"と言える。
 
本データのソースは以下。
Heuristics for assessing Steam game reviews [Part 1] - M Baas
 
参考までに、ソースでの考察を以下に引用する。

  • レビューは非常に肯定的である傾向があります。
  • 好評率が80~85%の場合、そのゲームが平均的であることを示します。
  • 好評率が80%未満であれば悪く、70%未満は非常に悪いスコアです(ゲームの下位20%)。
  • 好評率が85%を超えると平均を上回り、92%を超えるスコアは非常に良いスコアです(ゲームの上位20%にランクイン)。
 

Steamストアの評価は、 「直接購入したユーザー」のレビューのみ集計対象。
外部のストアやPCパーツ等付属の製品コードで入手したユーザーは、レビューこそ投稿できるが評価には影響しない。
レビュー全数の評価がストアでの表記よりもさらに低いシチュエーションがありうる。

 
 

余談:「文句を言ってるのは日本人だけ」なのか?

そんな訳ないだろとすぐわかるのは置いておいてSteamの評価を見てみよう。
2025/08/19に仕様変更され、国別で評価数と割合を見れるようになったのだ。

 

以下は2025/11/04の20時付近のデータである。

言語レビュー数好評率評価
日本語17,25628%やや不評
英語73,82566%賛否両論
中国語(簡)44,94719%やや不評
中国語(繁)13,87145%賛否両論
韓国語9,90554%賛否両論
ドイツ語4,16574%やや好評
スペイン語-西3,25169%賛否両論
フランス語2,62873%やや好評
ポルトガル語1,90066%賛否両論
スペイン語-ラ1,16163%賛否両論
ロシア語95959%賛否両論
タイ語89067%賛否両論
イタリア語57574%やや好評
トルコ語26861%賛否両論
ポーランド語24268%賛否両論
 

もう既に結果が見えているがこれを見ると、
確かに「steamの日本語ユーザーは低評価を付ける割合が多い」とは言える。
しかし、好評率から実際に不評を付けた人の数を算出してみると以下のようになる。

 
言語不評レビュー数割合
日本語12,4240.1365
英語25,1000.2758
中国語(簡)36,4070.4001
中国語(繁)7,6290.0838
韓国語4,5560.0501
ドイツ語1,0820.0119
スペイン語-西1,0070.0111
フランス語7090.0078
ポルトガル語6460.0071
スペイン語-ラ4290.0047
ロシア語3930.0043
タイ語2930.0032
イタリア語1490.0016
トルコ語1040.0011
ポーランド語77
 

steamの各言語ユーザーの規模を考慮すればごく当たり前の話であるのだが、
不評の声が最も多いのは中国語、次いで英語、次いで日本語であり、さらに割合を見れば日本語は2割も行かない。
「叩いているのは日本人しか見ない」と言うのは、言語の壁により他の言語の情報が入ってこないだけだと思われる。

 

さらに余談としてCSの日本売上も見てみると、
PS5のパッケージ版は2025/11/01時点で829,243本となっており、実はミリオンにすら達していない
仮にDL率5割と甘く見ても165万本程度で、1000万本のうち2割にも満たない事になる。
現状のモンハンシリーズにおいて、日本ユーザーの割合は大きくない(欧州諸国と比べればまだ大きいが)という事は留意すべきである。

 

関連項目

モンスターハンターワイルズ プレミアムデラックスエディション
闇の組織
ワイルズを叩き棒として使える条件
年度末 - 危険な兆候はあった
賛否両論 - 発売直後
50万本
PS Store評価
圧倒的に不評剣





*1 より正確には「10分程度のプレイ」も必要