「第4皇女には生まれつき左眼がなかった。それで皇帝は彼女の為に義眼を作らせたんだ。最高の職人にね。しかも右眼と全く同じ色の青い石を嵌めこんだからそうとは気づかない人間もいたらしいよ。」
…いつも通り唐突だな。で、それはモーニングティーに相応しい話なのか?
「革命が起きた時、彼女はまだ13歳だった。」
ああっいやな予感…。
「でも王侯貴族は悉く惨殺されて彼女も例外ではなかった。」
…。
「革命軍はまともな武器を持っていない民衆ばかりだったからなかなか止めが刺せなくて…」
もういい…。
「顔は潰されて転がり出た義眼は血溜りに浸かったんだ。」
や~め~ろ~~。
「で、使ってた石って実はこのサファイアなんだけどそのせいで…。」
シルクが敷かれた小箱の中の赤い輝き。なんだってそう曰く付きのモノが好きなのかな?君…いや君んとこの一家は。この間母上が見せてくれたのは貴婦人と海に沈んだとかいう青いルビーだったし。
「まあ、実際にはそんな事で染まったりはしないんだからその辺りは怪しいよ。でも、見えているんだろう?」
…それは君の手元を物欲しげに見つめている横顔の女の子のことか?本当にそういうのばっかりだな。勘弁してくれ、もう…。