「何フテてんの?良さげな賞取ったんだろ?イヤアタシノジツリョクハコンナモンジャネェってか?」
「うっせえわ」
そう言い捨てて妹は階段を駆け上がって行った。
「…色々と言われてるンよ。なんかネットでさぁ」
オカンが見せたサイトに書かれていたのは殆どは賞賛だった。だが残りは…。
「ひでぇ実は兄貴が作ったぁ?…オレには無理っっ!JKだからぁ?…審査員はおっさんばかりだろうけど関係…無ぇだろ?」
「女の人もいたよ。その人は絶賛だけどね…」
「あぁ?女同士は馴れ合う?嫉みひでぇな。それにあざといって…」
「題材がねぇ…お涙チョーダイ…っぽい?」
「アンタ誰の味方だよ?」
「入るぞー」
「うっせえわ」
「ブツ見せろや」
「…」
無言のまま顎で示しやがった先の机には「銀河」が載っていた。
「これオレか?」
プラットホームに指先ほどの人形が4つ。青い服の子供がそう。白いのは妹。オカンとそれから親父。寝台車で大阪のテーマパークに行った夏休み。東京駅でのあの日のシーンを彼女はほぼフルスクラッチのジオラマで再現したのだ。家族4人の旅行…最後の。
「…んーやっぱちとお涙頂戴かなぁ」
「うっせえわ」