「わかったことがあるんです」
君が唐突に言い出すことは、いつも僕を慌てさせる。
「孤独は悪くないです」
「そうなの?」
話はあわせる。
「ええ。孤独でつまらないのが悪いのです」
「つまらない」
「孤独でも楽しいです。でも。つまらなかったら滅入ります」
「ああ。そうだね」
膝を打つとはこういうことか。実際に膝を打ったら痛くてたまらないけど。
「だから、『つまらない』ことが悪なのです。楽しいを拒絶するのは、ある種の甘えです」
「甘え?」
「手っ取り早い試練は甘えです。試練に辿り着くまでも試練です」
なるほど。
「距離を怖れちゃいけないのです。楽しめない心こそが恐怖です」
君が言うことはたぶん正しいので、僕はいつもちょっとだけ辛い。