午前五時の朝焼けに一日の終わりを眺める。じくじくと滲む空は錆臭く、歩道は乾いて酸っぱい。白々と細い線で描かれた街頭は不確かな輪郭。軋む窓辺に映る途切れた電車の音。歪んだ象は腰に巻き付きからまりし、囚われた痛みは手を伸ばして空を仰ぐ。傷の苦さを愛おしみかき抱けば、象が鋭い爪をたて新たな傷を増やす。全身が生臭い朝日に染まる頃には、聞き飽きた喧噪が歌うアスファルトの唄。窓を閉じカーテンを引けばもうなにも見えない。収集車が象を集める音がする。
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