選んだ覚えのない代表たちが何か話しあってるらしいよのようなことを、鼻を鳴らして伝え合うゴロツキたちは、おれたちには関係ないもんねの脚取りで街をゆく。
うー。うーうー。
わん。わんわんわわん。
ばうわう。ばう。
わふわーふ。
がふう。がふ。
もん。んもん。
うーふ。うっふうっふ。
さる筋からの情報を得て潜入に成功したのはいいけれど、生まれが異なるというかそもそも吠える内容がちんぷんかんぷん。同じく潜伏中のネズミと目が合い会釈するものの、あちらにはうまく理解できてるのかしらんと疑念は尽きない。とはいえ捕らえられ、ぶたれないだけ幸運か。
やにわに遠吠え、遠吠え、遠吠え。重なる遠吠え。遠吠えと遠吠えが柱になって、しん。脚音もなく雲隠れ。
様子を見る。帰るまでが任務。ぐっばい、ネズミ。猫は居ぬか。
上司とふらり街を歩きながら、何が決まったんだか分からなくて怖かったねとけらけら笑っていると、ゴロツキ犬と目が合い会釈を交わす。