海音寺ジョー/しぶといやつ のバックアップの現在との差分(No.2)


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*読む [#k07175f4]
>「それでは、第46回漫画帝王賞の最終選考会を始めます」
>机に伏せられた五束のコピー原稿を、十名の編集がガササッと表に向ける。
> 向ける前から、裏写りする程にどす黒い原稿があった。誰もが気を留めずにはおれなかった。
>&br;
> 繊細な筆致。現代社会にフィットした言葉選び。起伏に富む展開。全員が十六歳の才媛の作品を入選に、と態度を決めたが、どうにも、真逆の禍禍しさに凝り固まった、例の真っ黒い画稿、八十九歳の男の初投稿作品に言及せざるを得なかった。
>「この作品、竹ペンか何かで点描で描かれてますよね」
>隣席の新卒の編集が、眼鏡をかけ直し顔を近づける。
>「うお、本当だ。枠線や吹き出しも点描だ」
>「定規も使ってませんね。一枚一枚から焦げ臭いほどの、怨念が漂ってくるようだわ」
> 誰もが一位に推す作品そっちのけで、八十九歳の画稿、タイトル『横死』に各々が持つ漫画観をぶつけた。結果、八十九歳のぴょん太氏には特別枠で、臨時の賞を与えることに全会一致で決まり、結果通知が送られた。住所が東京郊外の墓地になってたことに、連絡役は一抹の不安を覚えた。
>&br;
> が、当のぴょん太氏は霊園管理事務所で朗報を受け取り、呵呵大笑して線香で次作に取り掛かった。

*ジャンル [#d5f03666]
[[コメディ]]、[[サイコ]]、[[漫画]]、[[墓]]、[[オノマトペ]]
*カテゴリ [#k17c1bd2]
[[超短編/サ行]]
*この話が含まれたまとめ [#x647a0c4]

すぐ読める
*評価/感想 [#u7d5b246]

*初出/概要 [#beaeeb6b]
超短篇・500文字の心臓 / 第172回競作「[[しぶといやつ>超短編/サ行#i9a73bf0]]」 / 参加作
*執筆年 [#l468002f]
[[2019年]]
*その他 [#z5000c09]

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