よもぎ/冷えた椅子21 のバックアップの現在との差分(No.1)


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*読む [#h10f289f]

> ここに椅子がひとつある。僕はこの椅子に座っている。僕と椅子の前を人々が通り過ぎていく。そして口々にこう言うのだ。「やぁ素敵な椅子ですね」僕は軽く会釈して「それはどうも」とお礼をいう。でも悔しい。褒められるのは椅子ばかり。なんだい、こんな椅子なんか。だから椅子から立ち上がろうとした。なのに椅子のやつ、立ち上がって僕について来る。僕が歩くと椅子も歩く。人々がそれを見ていう。「おりこうちゃんな椅子ですねぇ」また椅子が褒められた。くそっ。僕は椅子に殺意を抱く。僕はナイフを手にとる。振り向きざまに椅子を切りつける。左上から右下へ、椅子の背が切り裂かれた。右上から左下へ、僕の胸が切り裂かれた。僕と椅子は分裂した。そしてあとには椅子がひとつ。

*ジャンル [#ad70a431]
[[一行作品]]、[[椅子]]、[[ホラー]]、[[生命]]、[[僕]]
*カテゴリ [#c06feb54]
[[超短編/ハ行]]
*この話が含まれたまとめ [#l76ee549]

すぐ読める
*評価/感想 [#dd200272]

*初出/概要 [#b76958fb]
超短篇・500文字の心臓 / 第33回競作「[[冷えた椅子>超短編/ハ行#v9b6571e]]」 / 参加作
*執筆年 [#e4114fc3]
[[2003年]]
*その他 [#id53c628]
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