胡乱舎猫支店/水色の散歩道
Last-modified: Wed, 24 Jun 2020 23:39:20 JST (1394d)
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……ニュータウンと呼ばれていますが出来たのは前世紀になりますな。ありがちいやこの国では仕方の無いことですが丘陵地を切崩して宅地に造成したのですよ。それで「ヶ丘」という名前です、これも又ありがちですな。
山も近いし、手を入れられない様な急勾配の所はそのまま残して「緑いっぱいの街」なんてのをキャッチフレーズにしてね、まだ自治体もやる気があった時代ですな、勿論お金も、人もいましたしね。
住民の憩いの場として公園を幾つかと遊歩道を整備しましてね、「虹ヶ丘」に因んでその内の七つに名前をつけたんですよ。案は他にもあったそうですがまあ一番無難と言えば無難ですな。それでね最初はアスファルトをその色で塗るとかいう話だったのですよ。でも流石にそれはやり過ぎだろうと入口や行先表示なんかを色分けするに留めてね、それなりに好評でしたよ。今じゃすっかり褪せてしまってますけどね、もう。
ああだから気づかなかったのでしょうな。ここが『水色の散歩道』だと。え?知ら無い?ネットで検索すれば一番に出て来ますけどね。ここは圏外なので戻ったら調べてご覧なさい。
……もっとも戻れれば、の話ですがね。
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初出/概要
超短篇・500文字の心臓 / 第159回競作「水色の散歩道」 / 参加作
執筆年
2017年?
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