胡乱舎猫支店/川を下る

Last-modified: Wed, 26 Aug 2020 22:50:02 JST (427d)
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「…えっと、どう…始める?」

「んー」

ハープが爪弾く、最初のひとしずく。

蕭々とハープシコードが降る。

シロフォンが参入、勢いを増す。

シンバルとタムタムが乱入。

「ちょっと、これじゃ嵐だよ」

「まあはじまりってこんなもん」


揺蕩う管弦楽器。

オーボエとトロンボーンの絡まりを合図にゆるやかな転調。

繰り返し、繰り返す。

「いいところまで行ったのに持ってかれるカンジ」

「湿原はうねるからね」

トライアングルがきらめく。

「あっ三日月湖」


ハーディングフェーレとヴァイオリンからヴィオラに主旋律が渡る。

「小屋がある、左っ側」

時折、吹き抜けるクラリネット。

「あれ、ビルかな?

まだ遠いけど」

指差す先はチェロが奏でる、高音域から艶やかに。


「結構大きな街だねぇ」

コントラバスが寄り添いさらに広がりを紡ぎ出す。

音符の陰影をまとうサクソフォンとのアダージュ。

夕刻の光の様に穏かに溶かしていく。

シルエットだけの鴎が飛び交う。

ジャンル Edit

音楽楽器?地学

カテゴリ Edit

超短編/カ行

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評価/感想 Edit

初出/概要 Edit

超短篇・500文字の心臓 / 第177回競作「川を下る」 / 参加作

執筆年 Edit

2020年?

その他 Edit

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