海音寺ジョー/深夜旅行

Last-modified: Wed, 24 Jun 2020 23:50:58 JST (1395d)
Top > 海音寺ジョー > 深夜旅行

読む Edit

 コタヤンが女に振られたというので、みなで海に行こうという事になった。

 コタヤンは釈然としない顔で俺らに向かって「なんでやねん」と言った。

「オマエのうちひしがれた心を慰めるべく、俺らが一緒に海に行ったる言うてんねん」

 サトウが説得力に満ち溢れた宣言をした。

なるほど

 コタヤンは納得した。コタヤンはあまり人を疑わない。そんなイイやつなのだ。だから女にもてるのだろう。何故振られたかは、コタヤンが言わないので誰も知らない。

 でも俺らは京都府長岡京市に住んでいる。内陸中の内陸だ。今は0時5分。終電はとうに出ている。一番近い海は敦賀浜であるが、車が必要だ。

 ゴリ彦なら車を持ってる、と誰もが口を揃え、ゴリ彦に電話をした。ゴリ彦は眠たいから、と断った。

「オレ、明日仕事なんや。朝早いんや。悪いが付き合えんわ」

「待て、ゴリ。おまえを男と見込んで頼むんや。コタヤンが女にふられたんや。今すぐ、海に行かなならんのや」

 ゴリ彦は男だった。そういう頼まれ方にとことん弱かった。

 ゴリ彦のパジェロに俺たちは乗り込んだ。

 ゴリ彦もいいやつだ。なぜゴリ彦が女に持てぬかさっぱりわからない。

 ゴリ彦のパジェロは月に背を向けて、敦賀へと走り出した。

ジャンル Edit

青春京都パジェロ?

カテゴリ Edit

超短編/サ行

この話が含まれたまとめ Edit

すぐ読める

選評/感想 Edit

初出/概要 Edit

執筆年 Edit

その他 Edit

Counter: 1367, today: 1, yesterday: 0