海音寺ジョー/気がつけば三桁
Last-modified: Wed, 24 Jun 2020 23:52:28 JST (1193d)
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象が死期を悟り人の知らぬ深い、深い谷へ向かうという話は有名だが、アマゾンで生きるスークという種族も自分の天命を知覚していて、心臓の鼓動回数が残り少ない事に気づくと本能の示す共通の墓地へ向かう。日本語に訳すと『残り水の道』という湿地帯の間道を通っていく。ほとんどが老人だが、なかには若いのも混じっている。彼らはこの道を通りながらそれまでの記憶を思い起こす。墓地まで千歩を切ったあたりで、いつもなら気にもとめなかったささやかな出会いや路傍の景色を、とても鮮やかな美しいかけがえのないことだったと驚きの発見をする。なぜその事をその瞬間に気づかなかったのだろう!と感極まりつつ、まどろんでくる意識で濃い深い暗い域へと歩を進めるのだ。
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この話が含まれたまとめ 
評価/感想 
初出/概要 
超短篇・500文字の心臓 / 第100回競作「気がつけば三桁」 / 参加作
執筆年 
2010年?
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