海音寺ジョー/ぺぺぺぺぺ
Last-modified: Thu, 25 Jun 2020 00:10:15 JST (1257d)
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屋外にある休憩所は喫煙所だけなので、煙草を吸わない僕も昼はそこに屯する。外灯が扉の斜め上にあるのだが、そこに燕が巣を作った。
「掃除のおばちゃんが、またキーッてなるな」
「そうだな、しかし、よくこんな煙臭い所に作ったな」
僕らは心配事の様に話し合ったが、それは自分の将来、例えばこの仕事続けられるだろうか、結婚できるだろうか等の問題と比べたら何でもない戯れ言だった。
やがて巣の中には四匹の雛が、ひっきりなしに母鳥が餌を運ぶ光景が見られた。巣の真下にはおばちゃんによって段ボールが敷かれた。ある日段ボールに整然と並べられた蜻蛉の死骸を見てヒッとなった。
「知らんの?燕は生き餌を食べるんだ。まだ食べられなかったので下に捨てたんだよ」
おばちゃんが教えてくれた。僕は休憩中、丸椅子に座って雛を見やるのが習慣になった。体格のいい雛が親の餌を独り占めしてて、要領よく肥えていってる。そのでかいやつが羽根を広げ巣から身を乗り出した。お、落ちんじゃないの?とハラハラして見てたら、尻を突き出し白い糞を撒き落とした。一緒に見てた掃除のおばちゃんは、真下の段ボールが糞をキャッチし、ほれ見い計算通りっという顔をした。
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評価/感想 
初出/概要 
超短篇・500文字の心臓 / 第163回競作「ぺぺぺぺぺ」 / 参加作
執筆年 
2018年?
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