よもぎ/私がダイヤモンドだ17

Last-modified: Thu, 25 Jun 2020 00:39:13 JST (1394d)
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ええ、私は寺院に棲んでおりました。静かな穏やかな日々。それが突然見知らぬ男に拉致されようとは。恐怖と不安に気が狂いそうな船旅。ただひたすらにきっと必ず戻りますと仏様にお祈りしておりました。どんなことをしてもお側へ戻るのだと強く強く念じておりました。祈りが通じたのか。拉致した男は犬に喰われて死にました。私は奴隷のように人の手を渡り続けました。けれども私は誰のものにもなりたくありませんでした。ただ仏様の元へ戻りたい一心で祈り続けました。不思議なことに私が祈ると私のあるじは死にました。ある時は落馬し、ある時は病で。お美しい王妃さまも私が祈ったために首をちょんぎられてしまいました。あはは。私を手にいれられるほどの富と名声を得たならば後は堕ちるだけです。堕ちる堕ちるああ楽しい。王に狂気を。実業家に破滅を。ブロンド女優に謎の死を。あは。あはは。ひとたび私に出会ったならば誰もが死の誘惑から逃れられないのです。なんと幸運なことでしょう!ええ。私はもう戻りません。死こそが仏様のお慈悲と知りました。命の炎が私の輝きの源。狂気にゆらめく炎を吸って私はいっそう青く輝く。そう。私の名は希望

ジャンル Edit

一行作品怪談祈るサイコわたし

カテゴリ Edit

超短編/ワ行

この話が含まれたまとめ Edit

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選評/感想 Edit

初出/概要 Edit

超短篇・500文字心臓 / 第23回競作「私がダイヤモンド」 / 参加作

執筆年 Edit

2003年?

その他 Edit

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