よもぎ/密室劇場34
Last-modified: Wed, 02 Sep 2020 23:14:37 JST (931d)
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三面鏡を開くと開演のブザーが鳴った。
細い目に薄い眉ぼんやりした表情の観客がまばらな拍手で迎える。(今日は)
肌を引き締める液体を叩き込む。(あなたに会う)
皮膚をしなやかにする油を薄くのばす。(そして彼女にも)
全体を白く塗り込める。(あなたは)
目を黒く大きく隈取る。(どちらを選ぶ)
赤く青く顔に呪術を施す。(わたしは)
確かめるように満面に最高の武器を構える。そして喝采。
鮮やかに目鼻立ちを際立たせた観客は決然と三面鏡を閉じた。
ドアの外にも舞台が待っている。
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この話が含まれたまとめ 
評価/感想 
初出/概要 
超短篇・500文字の心臓 / 第35回競作「密室劇場」 / 参加作
執筆年 
2004年?
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