よもぎ/天空サーカス
Last-modified: Thu, 11 Feb 2021 22:49:33 JST (1317d)
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目を開ければ闇。
眠りの底には、誰かの記憶が満ちていて、私はじんわり身を沈める。
そらにさえずる鳥の声、遠くから聞こえ来るは、じんたの調べ。
広がるテントは丸天井。
さあさあ、ショウの始まりだ。
まずは愛らしき大熊小熊の玉乗り。
そこへ美しきカシオペイアのおでましだ。椅子の上にて見事な軽業。
次にまかりこしたるは、大蛇かついだ蛇使い。
獅子の火の輪くぐり。オリオンと蠍の大格闘と続きまする。
道化ものの牛飼が下手なラッパでおなぐさみ。
さすれば今夜のハイライト、双子の空中ブランコでござあい。
失敗すれば、あわれ双子は流れ星。
見事演技ができましたらば、盛大なる拍手でお迎えください。
ショウは巡る。
目を開ければ闇。
私は木の根を手繰りよせ、眠りに落ちては、時を待つ。
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初出/概要
超短篇・500文字の心臓 / 第103回競作「天空サーカス」 / 参加作
執筆年
2011年?
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