よもぎ/エジプト土産
Last-modified: Thu, 09 Dec 2021 23:49:41 JST (862d)
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その包みを開けると、乾いた風が吹き抜けた。
するとあたりはいちめんの砂漠。
ラクダがウインクして「乗っていかない?」というので、さくさくと揺られてゆくと、スフィンクスがニヤニヤ笑って手招きをした。うかうか近づくとヒョイとつままれて、ピラミッドのてっぺんに置き去りにされた。ファラオに「降りろ!電波が届かないじゃないか!」と怒鳴られて、すみませんすみませんとピラミッドを駆け下りる。ナイルのオアシスまで突っ走り、ベリーダンスの姐さんに「ハンメーム?」と尋ねれば、笑って砂漠を指差した。「じゃ行こか」とラクダがいうので、あてもなくはるばると砂漠を越えてゆく。
そして窓の外、東京タワーの明かりが消えた。
ジャンル
砂漠/沙漠/荒野、異国、駱駝、コメディ、ウインク、すみません
カテゴリ
この話が含まれたまとめ
評価/感想
初出/概要
超短篇・500文字の心臓 / 第98回競作「エジプト土産」 / 参加作
執筆年
2010年?
その他
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