まつじ/黒い羊

Last-modified: Thu, 14 Oct 2021 23:48:18 JST (54d)
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 さようなら、を頭のなかでくりかえしています。というはなしを誰にきかせるわけでもありません。

 「めぇ」ともなけないわたしは、脳みそにむかってひとりあれこれをはなしかけるので、誰かがこのはなしを知ることがあるとすれば、きっとわたしの脳みそのかけらだかが、どこか転がりおちるかしたということでしょう。

 なんて、そんなことがあるでしょうか。

 わたしはむかし、とてもわるいことをしました。

 なにをしたのか覚えていないのは、あのひとがわたしをこのようにしてから、ひどくわたしがぼんやりするからです。

 そのひとは、いきているもののなかにわたしを行かせます。

 わたしのすがたをみとめると、たちまち意識も記憶も思い出もなにもかもをなくします。

 さみしくて、空想をします。

 たくさんのなかまたちといっしょに、みんなを目覚めるための眠りへ連れてゆく白いわたしのようすを、脳みそにはなします。

 わたしはこれから先もいろいろをしなすのでしょうか。

 わたしが消えたら、誰かがかわりになるのでしょうか。

 いつか誰かが、わたしを知るでしょうか。

 何度くりかえしたことでしょう。

 さようなら。さようなら。さようなら。

 わたしのかわりが、まだやってきません。

ジャンル Edit

リアルさようなら??ひらがな?わたし

カテゴリ Edit

超短編/カ行

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評価/感想 Edit

初出/概要 Edit

超短篇・500文字の心臓 / 第81回競作「黒い羊」 / 参加作

執筆年 Edit

2008年?

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