まつじ/連れてゆく4
Last-modified: Thu, 03 Jun 2021 23:14:11 JST (1055d)
読む
遠くから、鐘の音が聞こえる。間もなく、年が明けるのだ。
彼は誰にも知られずにやって来る。隠れているのではない。誰にも、見ることが出来ない。そうして夜の中をひっそりとやって来る。やがて、彼の後ろに列ができる。
列は音もなく、ぼんやりとしたもので少しずつ体を長くしていく。
人々はあたらしい年を待つ。
暗い道を誰にも知られることなく、列は伸び、進んでいく。
遠くから、鐘の音が聞こえる。忘れられていくものたちを後ろに、彼は夜の中を静かに去って行く。
間もなく、年が明ける。
ジャンル
カテゴリ
この話が含まれたまとめ
評価/感想
初出/概要
超短篇・500文字の心臓 / 第53回競作「連れてゆく」 / 参加作
執筆年
2005年?
その他
Counter: 369,
today: 1,
yesterday: 1