まつじ/象を捨てる2

Last-modified: Thu, 14 Jan 2021 23:05:52 JST (1190d)
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 絵を描くのが好きで、スケッチブックを持ってよく外に出かけた。

 ある日、道ばたで拾った象を家に持って帰ったら、母さんに「もとの場所に戻してきなさい。」と言われた。

 がんばったけど、やっぱり無理だった。

 母さんには勝てないもの。

 隠すには大きすぎるし。

 誰かともだちがもらってくれるんじゃないかと思いついて象を連れていったら、ともだちは喜んだけど、おばさんたちは喜ばなかった。

 象を連れてもとの場所に行くと、それを見ていた人に、「動物を捨てちゃだめよ。」と叱られた。

 どうしていいかわからなくて、わたしたちは止まった。

 象によりかかったら、持っていたスケッチブックを落とした。

 ぱおおん、と象がないた。

 そしたら象が分裂して、小さな象がたくさんできて、

 ぱおん。ぱおおん。

 絵本に出てくるみたいな水色の象たちは歌いながら列をつくって、ひとつずつスケッチブックに飛びこんで、たくさんの水色の象の絵になって、わたしは急いでそれを家に持って帰った。

 母さんにはもう何も言われなかった。

 それからわたしはたまに、母さんにばれないように、スケッチブックから象を出していっしょに遊んでいる。

ジャンル Edit

童話ファンタジーオノマトペわたし

カテゴリ Edit

超短編/サ行

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評価/感想 Edit

初出/概要 Edit

超短篇・500文字心臓 / 第42回競作「象を捨てる」 / 参加作

執筆年 Edit

2004年?

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