まつじ/緑の傘

Last-modified: Thu, 15 Jul 2021 22:36:47 JST (1188d)
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 これは道に迷ったというところうまい具合に現れた交番を覗くといきなり

「あ、いかんキミ、そんなの持って」

 と言われた。

 たたんだ傘をばさばさ振ると雨粒が散る。

「ミドリちゃんが出る」 

 おまわりさんがワッハハ笑った。

「え、何がミドリちゃん」

 と背後から人が現れ

「ホラその緑の」「あー」「清水くんちは酒屋で」「酒持ってきた」「さすが」「今はコンビニだけど」

「刺身持ってきた」魚屋から乾物漬物おでん文具八百屋主婦教師サラリーマンおねえちゃんが次々と登場し飲んで酔っての大宴会。

 諦めて交番を出ると

「ミドリちゃんの」「緑の」「お気に入り」「かくされ」「死んで」「いじめられ」「傘持つと」「出る」「やられる」「ぼくたち」「わたしたちは」

 てんでばらばら口にしだすや声を揃えて

「ミドリちゃんが嫌いです」

 ワッハッハ。

「キミごと始末するコトとなりました」

 目のどんよりした人間が首をにょろと伸ばしたか伸ばさなかったかとにかくわらわら追って来るので荷を放り林に逃げ雨の下うずくまっていたら捨てたはずの傘を差し隣りに座った女の子が

「えへへー、あいあいがさ」

 あ、かわいい、と思うが傘から流れ落ちる薄赤い雫をどうしたものか、一緒にエヘヘと笑う

ジャンル Edit

リアル仕事色彩笑うわたし

カテゴリ Edit

超短編/マ行

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評価/感想 Edit

初出/概要 Edit

超短篇・500文字心臓 / 第59回競作「緑の傘」 / 参加作

執筆年 Edit

2006年?

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