まつじ/河童
Last-modified: Mon, 25 Jul 2022 23:49:59 JST (612d)
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頭が捩り切れるかと思ったのだが勘違いであったらしい。とはいえ、相応の痛みはある。呼吸が辛い。出来ない。苦しい。生きるのが厭んなる。厭んなるが消えることも儘ならん。角力を取れと脳の髄が囁くのだが何の為に。面白いから?と笑い声。空耳である。腐れた体が滑(ぬめ)る。それ以外は童の頃と違いがないが、にしても随分永らえた。何故か水辺を離れられない。清めたい気もあるが、根源でない。意味が判らず、厭んなる。角力をしなくては。厭んなる。厭んなるが、やらねばならん。いやあ、怪奇である。
弱いので容易にやられる。首がもげるかと思ったが、無事ではある。とはいえ相応の痛みがある。厭んなる。それでも続ける。何する者ぞ。この小さく滑(ぬめ)る体。はっはっは。面白いか。興味深いか。そうでもねえか。ちゃんちゃら可笑しい。うける。笑える。いやはや、たいした見世物だ。
はっは。
我こそは、怪奇である。
らしいよ。
はっは。
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初出/概要
超短篇・500文字の心臓 / 第121回競作「河童」 / 参加作
執筆年
2013年?
その他
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