まつじ/二人だけの秘密25
Last-modified: Wed, 16 Dec 2020 23:48:59 JST (1014d)
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「あ。」
横で煎茶を飲んでいた婆さんが急に声をあげたので
「おう、どうしたぃ?」
爺さんが尋ねると、
「立った立った茶柱立った。」
と婆さんは嬉しそうにはしゃいだ。
「そりゃあいいこったけど、お前それを俺に言っちゃあ御利益がないじゃねえか」
爺さんは呆れたようで、しかし、少し楽しそうで。
「いいんですよ。夫婦なんだから。御利益御利益なむなむなむ…」
「なにわけのわかんないこと言ってやがんでぇ。」
爺さんと婆さんの間に茶柱の立った湯呑みが一つ、縁側の二人はしばらくそのまま、そうやって時間は過ぎていく。
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評価/感想 
初出/概要 
超短篇・500文字の心臓 / 第40回競作「二人だけの秘密」 / 参加作
執筆年 
2004年?
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