まつじ/二人だけの秘密15
Last-modified: Tue, 18 Oct 2022 23:58:56 JST (347d)
読む 
カッちゃんとぼくは二人で博物館に行ったのだけど、「さわらないでください」って書いてあった恐竜の骨にぼくはついつい触ってしまって、そしたらなんか変な音がして骨がぷらんてなって、どうしようって横を見たらあわててカッちゃんがそれを直そうとしたんだけどやっぱりだめで、結局骨が一本ゴトンて落ちちゃって、立て続けに尻尾の方がガラガラ崩れた。近くに人はいなかったんだけど、「げ。」って、一瞬顔を見合わせてから、カッちゃんとぼくは走って博物館を逃げ出した。
ぜーぜー言いながら
「きょうりゅうのほね、こわしちゃったね。」ってぼくが言ったら、カッちゃんは
「どうせホンモノじゃないからいいんだよ。」
「え?そうなの?」
「そうなんだよ。それに、おれたちがやったなんてわからないだろうし。だれにもいうなよ。」
「いわないよ。ばれたらやだもん。」
走ったから二人とも汗をかいていて、それからカッちゃんとぼくは、なんだかめちゃくちゃ青い空の下で、「あちーあちー」て言って、恐竜の骨のことなんか忘れたみたいに、夏休みの宿題とかどこに遊びに行くかとかの話をして、さっき買ったアイスを食べながら並んで歩いた。
ジャンル 
カテゴリ 
この話が含まれたまとめ 
評価/感想 
初出/概要 
超短篇・500文字の心臓 / 第40回競作「二人だけの秘密」 / 参加作
執筆年 
2004年?
その他 
Counter: 311,
today: 1,
yesterday: 1