まつじ/ナマコ式

Last-modified: Thu, 19 Aug 2021 23:41:20 JST (59d)
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 博士博士どこに行ったんですか、と探す彼はまもなく腰を抜かすことになるのだった。

 一個の生物を数式で完全に表現するのだという博士は自らの研究について、ちょっとした芸術みたいだワハハと笑いながら話した。

 それにしたって何故こんなものを、と思うけれど

「だって好きなんだもの。」

 と言われれば仕方がない。

「体のほとんどがね、水とコラーゲンで出来てるんだ。旨いし、肌にもいいよう。」

 食べながら語る姿も懐かしく、今となっては全身これコラーゲンと化した博士を水槽の外から眺めるばかり、何か惹かれるのだよなあ、ああいうふうに暮らしたいなあという願い叶って幸せなんだろうか。

 世間では研究室を飛び出した数式が町をゆっくりと這いずりニュースを騒がせている。触れたものは即感染、博士同様煮こごり状、軽度の場合でも生活がそれらしくなる等の症状を引き起こすという。

 すべての責任が助手である彼に押し付けられ疲れるが、研究自体にはほとんど関わっていなかったのでどうしたものか、なんとなく博士の世話をしていると、先日トゲに触れた指先が寒天のようになっている。

 あ。

「まいったなあ。」

 うるさいテレビの音が遠のく。

 博士と、黒い塊がのっぺり動いた。

ジャンル Edit

SF博士?助手?棘皮動物ホラー

カテゴリ Edit

超短編/ナ行

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評価/感想 Edit

初出/概要 Edit

超短篇・500文字の心臓 / MSGP2006 二回戦第8試合参加作

執筆年 Edit

2006年?

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